南海本線の羽衣駅から分岐する1.5kmの単線ミニ支線で途中駅は伽羅橋駅のみ。所要時間は3分で1時間に3往復、ラッシュ時は4往復する。
終点高師浜(たかしのはま)駅は高架駅であるが、地上に降りたところに1919(大正8)年開業の洋風駅舎が残っている。出入口の上方にステンドグラスがあって気品ある雰囲気だ。
半世紀以上前に大阪市内在住の叔父に連れられて海水浴で訪れたことがあるが、当時は駅前が砂浜だった。いつしか埋め立てられて駅から海岸までは遠くなり、高師浜の名前とはかけ離れた状況である。
このほか南海電鉄には、本線から分岐する多奈川線、加太線、和歌山港線、空港線といったミニ路線が存在する。
ユニークな取り組みも
南海本線の貝塚駅から分岐する水間鉄道は、南海電鉄の関連会社かと思ったら、グループ会社ではない。バブルが弾け、不動産事業で痛手を負い、会社更生法適用後は、グルメ杵屋の完全子会社となっている。
貝塚―水間観音5.5kmの間に8つも駅があり、全線単線で、ワンマン改造した元東急7000系が2両編成で走る。途中でJR阪和線と交差するものの、どちらにも駅はなく、南海電鉄に忠誠を尽くしているかのようだ。
終点水間観音駅は水間寺への最寄り駅。1926(大正15)年開業で、近畿の駅百選に選ばれた寺院風の駅舎は異彩を放っている。
水間鉄道では、個人や会社などのPRを兼ねたオリジナルヘッドマークを電車に取り付けたり、1万円で3カ月間乗り放題の水間寺参詣手形(フリー乗車券)を発売するなどユニークな取り組みを行っていて興味深い。
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