超絶アクションをとらえる世界唯一のカメラ 驚異の瞬間を手軽に撮影

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ここからは、映画の物語のような起業ストーリーである。ウッドマンと後に妻になる当時のガールフレンドは、起業資金を集めるために、バリ島で買った200円ほどの貝殻のベルトをアメリカで売り始めた。ロサンゼルスの海岸を車で回る露店業だったが、時には6000円ほどの値段で売れることもあった。そして、その売り上げとウッドマンの母から借金した3万5000ドルを元手に起業。母のミシンを借りてストラップを作り始めたのだ。

ストラップを最初にバルクで買い上げたのは、日本の会社だったらしい。スポーツ関連の展示会に出品するためだ。そのうち、自前のカメラの開発も開始。当初は35ミリの防水フィルムを内蔵したもので、サーフ・ショップやテレビ・ショッピング会社など、あらゆる販売網を探った。

売上高5億ドル、一貫して黒字!

カメラはその後、デジタルになり、アプリも開発して、使い勝手や共有する仕組みが次々に充実。スポーツマンの口コミでどんどん人気が出て、売り上げは毎年倍々ゲームで増大していった。創業後10年経った2012年には、5億ドルを売り上げている。日本の会社がストラップを買い上げたときから、ウッドマン・ラボはずっと黒字続きだという。

2012年には、台湾の製造請負会社であるフォックスコンが、同社の8.88%の株を取得、まもなくIPO(新規株公開)も近いとされている。昨年は、技術工学部門でのエミー賞も受賞し、ゴープロはもう世界中に知られる存在となったのである。

ゴープロが使われる場は、宇宙にも広がろうとしている。2012年、スカイダイバーのフェリックス・バウムガルトナーが、高度3万9000メートルという成層圏からの超音速落下に挑戦。「気を失いそうだ」とつぶやく彼の様子が、ゴープロカメラで記録された。

ゴープロの商品には、今でも工夫を凝らしたストラップやマウントが並ぶ。型破りの挑戦や、世界を変えるイノベーションが、そんなストラップから第一歩を踏み出したとは、実に感慨深いことなのだ。

瀧口 範子 ジャーナリスト

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たきぐち のりこ / Noriko Takiguchi

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』『行動主義:レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家:伊東豊雄・観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち:認知科学からのアプローチ』(テリー・ウィノグラード編著)、『独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書』(ジーン・シャープ著)などがある。

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