日本最初の盲導犬 葉上太郎著

日本最初の盲導犬 葉上太郎著

日ソ間でノモンハン事件が起きた1939年、盲導犬4頭がドイツから神戸港にやってきた。ドイツの国立盲導犬学校で訓練を受けたオス1頭、メス3頭のシェパードは東京に送られ、再訓練の後に臨時東京第一陸軍病院に献納された。戦争で失明した軍人の社会復帰を支えるためだった。

盲導犬の導入で軍の組織的合意があったわけではなかった。4頭の輸入では民間の篤志家や病院長、一部の軍首脳が尽力したが、国立の盲導犬学校を作りたいという関係者の思いは戦火にかき消されていった。だが、輸入された4頭および新たに育成された10頭前後の和製盲導犬は、失明兵士が生きる希望を取り戻すための先導役になっていく。

哀れなのは戦火や敗戦の混乱の中で多くの盲導犬が命を落としたことだ。しかし、人々の盲導犬に寄せる思いは、短歌や慰霊碑、位牌となって残っていた。3年以上の取材で書かれた本書は戦時下における普通の人々の記録でもある。

文藝春秋 1600円

  

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