2020年に株価が上昇しそうな業界はどこか 政府の経済対策の規模は決して小さくない

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「利下げの打ち止め」は、それだけを取って考えると株式市場にとってはネガティブな材料になる。だがむしろ「景気の足腰がしっかりとしてきたから利下げをいったんやめる」、と考えるべきだ。そもそも、引き締め政策に転じたわけでは決してなく、アメリカの金融政策が景気を重視した緩和的なものであることに変わりはない。

1990年以降でFRBが政策金利引き下げを打ち止めした局面は5回あるが、5回とも利下げの打ち止め後に日米とも株価は上昇(NYダウ・日経平均株価)している。直近の2回(2003年6月と2008年12月)については利下げ打ち止めのタイミングがその後の長期的な株価上昇の起点となっている。利下げの打ち止めに関しては、さほど悲観的に考えるべきではなく、むしろ株式市場には追い風と見ていいだろう。

日本政府も予想上回る大型経済対策を発動

アメリカ景気の強さが確認できたことに加え、米中貿易交渉では「第1段階」合意に達し、12月15日に予定されていた対中関税引き上げは見送られる形となった。

さらに、9月発動分の関税率を15%から7.5%に半減させることが決まったことで、アメリカ株が再び史上最高値を更新した。その追い風を受け、日本の市場にも年末高に向けての期待が高まっているが、国内でも大型の経済対策という頼もしい材料が出てきた。

もともと、補正予算による景気対策への期待はあったが、事業規模が26兆円程度、財政支出13兆2000億円という大型の経済対策はサプライズだった。この経済対策は、台風19号など相次ぐ自然災害を受けた復旧・復興や景気下振れリスクに対応するために策定されており、上記の3本柱となっている。

まずは、災害からの復旧・復興ということで、株式市場ではゼネコンを始めとする建設・土木関連株やセメントや鉄鋼などの素材株が物色対象として注目された。今後も頻発すると思われる自然災害に備えた国土強靭化は中期的にも重要な政策になるであろうし、そこに新たなビジネスチャンスを見いだす企業も多いだろう。当然、株式市場でも息の長いテーマとして注目される。

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