起業家スーパー官僚が挑む、1000人留学計画 グローバル人材の日本代表が生まれる日

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目指すは、グローバル人材のJリーグと日本代表

3つ目の特徴は、奨学生の選び方だ。これまでの奨学生は、基本的に、経済困窮者や、成績優秀者や、勉学を修める者に限られていた。しかし今回のプロジェクトは、より多様な若者にチャンスを与える仕組みだ。留学の定義そのものを変えたと言える。

「経済面では、世帯年収1200万以下という条件設定はあるが、従来よりもバーを下げた。しかも、選考に当たって成績はみない。慶応のSFC(湘南藤沢キャンパス)みたいに、大学1、2年で起業している人の中には、成績が悪くても優秀な人がいる。そして、勉強ではなく、体験や実績をともなう留学でもいい。極論を言えば、1カ月のインターンでもOK」(船橋氏)。

奨学生に選ばれた学生には、留学メニューの消化に加えて、現地で日本について発信することも求められる。そのためにも、留学前にしっかり日本について学ぶ機会を用意する。

「日本の若者は自己肯定感が低いと言われるので、それを上げたい。日本が世界でどう見られているかを知れば、自己肯定感がアップして、DNAをくすぐられるはず。日本のアイデンティティを意識し、日本を誇らしく思う状態を創っておいてあげたほうが、留学先でもメンタル的に倒れずらいし、コミュニケーションもしやすいし、日本のことも発信しやすい。一石三鳥のイメージ」(船橋氏)

もうひとつ、船橋氏が意欲を燃やすのは、グローバル人材のJリ―グ創設。たとえば、Jリーグが地域密着で運営しているのと同じように、各地域の青年会議所や商工会議所などが、みなで海外に送りたい若者を探して、留学するための資金をサポートするという形だ。「ゆくゆくはサッカー以外の日本代表を創りたい」と船橋氏は力を込める。

サッカーの世界のように、グローバル人材のサムライジャパン、なてしこジャパンが、世界と堂々と渡り合う――そんな日が到来したなら、その功労者として、船橋氏の名は後世に語り継がれることだろう。

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