特捜の看板には無理がある--『検察の正義』を書いた郷原信郎氏(弁護士、名城大学教授)に聞く

特捜の看板には無理がある--『検察の正義』を書いた郷原信郎氏(弁護士、名城大学教授)に聞く

理学部出身、独学で司法試験に合格し、「引きずり込まれた」検察の世界で23年。その検察OBが「組織の論理」に閉じこもり、社会・経済の構造変化から立ち後れる「検察の正義」を問い直す。

--舌鋒鋭く検察、中でも特捜批判には容赦がありません。

いまの検察の、とりわけ特捜部のあり方、捜査のやり方を徹底的に批判している。私の批判を受けることがなければ、おそらく検察に対する批判は少なくともこの1年を考えたら全然違っていただろう。そういう意味では、私という人間を検察に引きずり込んだことは大きな意味を持ったのではないか。

--法律理解は独学で、そして伝統的な組織の中へ入りました。

いわば私は法曹資格者の中では「変わり者」。なんの予断も先入観もなく、一般の市民の感覚で検察の仕事をやってきた。「小沢秘書事件」についても、経験と法解釈を踏まえて当たり前のことを言っているつもり。その当たり前のことを当たり前になかなか言いにくいのが検察の世界だ。検察では閉じた世界の中で独特な論理で動かざるをえない。

--東京地検特捜部にも在籍しました。

特捜検察には特に大きな問題がある。しかも、その特捜検察を看板にして社会的に存在価値を維持してきたのが、これまでの検察だった。だから看板を維持しようと思って無理が起きる。その無理が限界に近づきつつある。

たとえば2000年以降、特捜が手がけた事件で胸のすくような成果を上げたというものはほとんどない。もう無罪判決が出たものもあるし、無罪判決に至らなくても実質ほとんど負けではないかという事件がたくさんある。特捜検察は限界にきているといって間違いがない。

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