「儲けたい」と「モテたい」は焦りが禁物な理由 「下心と恋心」は「遠交近攻」の逆説で考える

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新潟県三条市にある広大なキャンプフィールド。敷地内にはスノーピークのヘッドクオーターも設置されている。テントやシェルターは、接合部分が標準化されているため、用途に応じて組み合わせることができる(写真:スノーピーク)
日本の経営学では、ビジネスモデルの実践研究が盛んだ。コンサルタントや経営者から研究者まで、いろんな立場の筆者が、思考法、多様なツール、パターン集などをまとめ、書店には多くの本があふれている。
このたび、日本のビジネスモデル研究の第一人者でもあり、早稲田大学で起業家育成プログラムを担当する井上達彦氏が、学術研究や海外のイノベーションプログラム、実務の最前線で使われている方法などを集約し、ビジネスモデルの発想法から事業の循環までを描いた『ゼロからつくるビジネスモデル』を上梓した。
同書は500ページを超える大作ではあるが、今回は、同書のエッセンスの1つを、話題のアウトドアブランドである「スノーピーク」の事例を用いて解説する。

空回りするビジネスモデル

異性にモテよう、モテようと思えば思うほど空回りして、モテ期を逃すという経験はありませんでしょうか。

『ゼロからつくるビジネスモデル』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

下心が見透かされ、異性にそっぽを向かれてしまうということです。読者の皆さんはそうでなかったにしても、そういうわなに陥った友人の1人や2人はいたかもしれません。

ビジネスモデルについても、同じことが言えます。

儲けよう、儲けようと思えば思うほど、収益が伸び悩むということがしばしばあります。私は、これを「ビジネスモデルのパラドックス」と呼んでいます。すなわち、収益を上げることばかりを気にしていると、かえって顧客にそっぽを向かれて、儲からなくなってしまうという現象です。

なぜ、このようなパラドックスが生まれるのか、学術的にも説明できそうです。ここでは、私が『ゼロからつくるビジネスモデル』のインタビュー取材で聞いた、実務の事例の1つと照らし合わせながら解説していきましょう。

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