危うい「日本人の読解力」を根本的に変えるコツ 塾も具体的な方法は教えてくれない

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具体的には、本文と照らし合わせて、選択肢の中の言葉の上に○×△をつけていきます。「本文に書いてあること」「本文からわかること」「本文の言葉の言いかえ」にも○。本文から確定はできないが、変な感じが残る場合は△。明らかに本文と違っている場合は×をつけます。

慣れてくると、×は割と簡単につけられるようになりますから、検討すべき選択肢が4つから2つになるなど、手間がぐっと減り、判断の正確性が上がるようになります。

問題を解く際の手順は次のとおりです。

●選択肢を読む → 記憶する(ざっくりでもOK)
●本文を読む → 「答えの基」に印をつける
●本文にある「答えの基」と選択肢を見比べながら○×△をつける

1つの選択肢に対して○×△が1つではありません。選択肢を「分析」して、例えば選択肢の前半は〇だけれど、後半は×、というパターンなどになります。こうした場合、例えば、選択肢①が「〇と×」、選択肢②が「〇と△」、選択肢③が「△と×」ならば、答えは②だろうと考えられます。

難関校の選択肢は、慣れないうちは△ばかりになってしまうこともあります。また、同じ単語や文節が選択肢にもあればわかりやすいのですが、難関校は言いかえをすることがほとんどです。言いかえられた単語や言葉に○をつけられるようになると、正答率はぐっと上がります。

このように○×△をつけることには、副次的な効果もあります。本文がわからなくて頭の働きが止まってしまったときに、とりあえず手を動かすことで、脳も徐々に動き出してくれることです。脳がフリーズしてしまったときこそ、このような手作業が効いてくるのです。

〇と△で迷ったときには「因果関係」を考える

最初はうまくいっていた「○×△」も、慣れてくると迷いが出てきます。推測力が働くようになって、「これもありうる」「あれもありうる」と思えるようになり、○が増えて答えが絞れなくなってしまうのです。

それを回避するために、法律を例にして○と△の境目はどこかを考えていきましょう。

以下は国語の偏差値が56から70台に上がり、筑波大附属駒場中に合格、その後東大法学部から中央官庁へと進んだM君を指導しているときに考えついた、問題を解くための道具です。その後、多くの生徒さんでの「実証実験」を経ています。有効性は確認済みですので、ぜひお使いください。

例えば、ある地区で、露店が多数出店される催しものが開かれることになったとしましょう。この設定で以下の例を考えてみます。

雑貨店Aは、そのお祭りに出店し、生花を売ることにしました。
ですが、雑貨店のため、普段は生花を扱っていません。
そこで、別の地区にある生花店Bに依頼し、催しもの当日に生花を納品してもらう契約を結びました。
雑貨店Aは、普段扱っていない生花を販売するので、特別にアルバイトを雇い販売するための準備を整えました。
しかし、催しもの当日になっても、生花店Bから生花が一向に納品されません。
なんと、生花店Bが催しものの日程を勘違いしていたことが発覚。
結果、雑貨店Aは、催しもので生花を売ることができませんでした。

雑貨店Aが受けた損害の原因と結果の因果関係について考えてみましょう。
次ページこの例における原因と結果の因果関係は?
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