プレゼンが苦手な人は質問の深掘りができない 「What」「Why」「How」を突き詰めれば見えてくる

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誰に何を聞かれても、揺るがないくらいの熱い思いを届けたい。そうした魂が込もったプレゼンテーションは、聴く人の心に響きます。私はよく、自分の「好き!」を伝える気持ちでプレゼンテーションを作ろうとお話ししています。

逆に言えば、質問に耐えられない主張は弱いということです。掘り下げた質問を投げかけられたときに、「そこまで考えていませんでした」という回答しか浮かばないようであれば、プレゼンテーションを作り上げるプロセスの中で、自分に問う力、すなわち自分の思いを深める作業が足りないということになります。

「質問する力」と「プレゼンづくり」は表裏一体

「質問する力」は、プレゼンテーションづくりと表裏一体にあります。

新人研修や管理職研修など、社会人向けのプレゼン研修に伺う際に、「自社製品やサービスのよさをお客さんに訴求するには、伝える側の魂がないとなかなか成約にはつながりにくい」という話をしています。ビジネスの場では、相手のニーズを聞き、反応を見ながら、自分だけが伝えられる思いをアドリブで入れ、相互理解を深め、生身の自分と商材を売り込んでいくのです。

その前提には、What(この商材の特徴は何なのか)、Why(なぜ自分がこれを勧めるのか)、How(どのように導入してもらえれば顧客にとって便益があるのか)、といった質問を顧客に伝える前に繰り返し自分に問い、商材そのものとそれを売り込む自分を深く見つめなおすことが必要です。

そのようなプロセスを何度も繰り返すことで生まれたプレゼンテーションは、きっと顧客の心に残り、またお互いの新たな発想を広げることにつながることでしょう。

竹内 明日香 一般社団法人 アルバ・エデュ 代表理事

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たけうち あすか / Aska Takeuchi

東京大学法学部卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)にて国際営業や審査等に従事後、独立し海外投資家向け情報発信や日系企業のプレゼン支援を提供して今日に至る。2014年、子どもの「話す力」の向上を目指す一般社団法人アルバ・エデュを設立。法人向けに培ったメソッドを応用し、公教育にアクティブラーニングの授業やカリキュラムを導入、教員研修も提供している。受講者数は5万5000人以上。著書に『すべての子どもに「話す力」を――1人ひとりの未来をひらく「イイタイコト」の見つけ方』、『99%の小学生は気づいていない!? 思いを伝える「話す力」』など。

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