複雑な労務問題を抱えたJAL、経営側の「労組分断策」が再建の足かせに
特にJAL労働組合を除く、反経営色の強い7労組は「JJ7労組」と呼ばれ、ボーナス要求などの闘争をバラバラに実施してきた。労組側が統一行動を取っても、会社側は分断政策を貫徹するため、個別折衝にこだわってきた。
今までは各労組を分断統治するメリットは大きかった。地上職の多い日航ジャパン労働組合はストを通告しても、決行前に踏みとどまり、客室乗務員で構成する日本航空キャビンクルーユニオンはストライキ闘争路線から距離を置いてきた。
旧JAS系パイロットの日本航空ジャパン労組は闘う組合のスタンスを堅持している。しかし、他労組からは「不満の強い現場を執行部が抑えられず、ストになだれ込んでいる」と、弱体化の兆しを指摘されている。
ところが、経営再建問題が民主党政権下で新段階に入ると、会社側は分断統治のデメリットを看過できなくなってきた。
9月末には西松遙社長ら経営陣が、全8労組を対象とした合同経営説明会に初めて出席した。45分ほどの短い時間ではあったが、西松社長は「自主再建のラストチャンスを生かしたい」と発言。さらに、「外からは8つも組合があるというだけで、再建計画が実行できないように見られてしまう」とぼやいてみせた。
西松社長の「8つも組合がある」発言に対して労組側は、JJ7労組が共同歩調を取っており、JAL労働組合と合わせて実質2労組だと反論している。労組再編や労使協調路線への転換の予兆なのだろうか。
共通の敵は専門家委員会
民主党政権の誕生で労使関係が変化しつつある。民主党は野党時代からJALの経営再建問題を鋭く追及してきた。