旭化成が米医薬買収、その「目利き力」は本物か

1400億円を投じ、狙うは「第2のゾール」

11月下旬に行われた買収会見で、旭化成の小堀秀毅社長(左)は「医薬事業のグローバル展開を加速したい」と強調した(記者撮影)

旭化成が1432億円を投じ、アメリカの医薬会社を買収する。社名はベロキシス・ファーマシューティカルズ(ノースカロライナ州)。腎移植を受けた患者の拒絶反応を抑える免疫抑制剤の医薬ベンチャーだ。

同社はデンマーク企業からスピンオフして設立された経緯があり、ナスダック・コペンハーゲン市場に上場している。大株主の現地ファンド2社とベロキシス経営陣から買収合意を取得済みで、12月中にTOB(株式公開買い付け)を開始して全株式を取得する。

売上高はまだ40億円台で赤字

旭化成は子会社の旭化成ファーマを通じ、骨粗鬆症や関節リウマチ治療剤などの医薬品事業を手がけている。昨年度の事業売上高(645億円)のほとんどは国内だ。旭化成の小堀秀毅社長は11月下旬に行われた買収会見で、「これで医薬も最大マーケットの北米に地盤ができる。医薬事業のグローバル展開を加速したい」と意気込みを語った。

ただし、買収するベロキシス社の従業員数は60人ほどで、製造、研究開発機能を有さない。また、同社が販売している製品は腎移植患者用の免疫抑制剤(製品名は「エンバーサスXR」)のみ。昨年度の円換算売上高は43億円で損益も赤字だ。

腎移植患者向けの免疫抑制剤は、マーケット規模が限られ、医薬ビジネスの世界では完全なニッチ領域。しかも、複数の競合薬が存在し、その安価な後発薬すら出回っている。普通に考えれば、買収してもうまみはほとんどないようにも見える。

ではなぜ、旭化成はベロキシス社に1400億円もの大金をつぎ込もうというのか――。

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