2007年「中華航空120便」炎上爆発事故の新事実 乗客乗員165人乗せた旅客機が着陸後に爆発

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「落ち着いてください。機長から指示が出ます。それまで慌てないでください!」

キャビンアテンダントが懸命に呼びかける。機内で異常事態が起きた場合、通常、その対応は機長の判断にゆだねられる。しかし、なぜか機長からの指示が出ない。実はこのとき、予想外のアクシデントが起きていた!

死角で燃え続けた炎

実は、機体が発火したとき、驚くことに機長をはじめ、コックピットでは誰一人、事故に気づいていなかったのだ。

通常、飛行機には、貨物、エンジン、トイレに火を検知する機能がついており、火災が起きた場合、コックピットで警報が鳴る仕組みになっている。しかし、今回の火災に関する警報はならなかった。

事故の映像を見ると……燃えさかる炎は、機体のすぐ近くの、地面に広がっている。実は火災の原因は、ジェット燃料の漏れによるもの。左右の翼にある燃料タンクに残されたおよそ5000㎏の燃料が流れ出たのだ。

この日、沖縄の気温は29℃。タンクから漏れ出したジェット燃料は地面で温められ、蒸発。それが停止直後のエンジンの熱によって発火! そのまま地面のジェット燃料に広がってしまったのだ。つまり、火災は機体ではなく、地面で起きていた。そのためコックピットでは、機体に何かあれば知らせてくれる警報器も作動していなかったのだ。

さらに、発見が遅れたのは、機体を停めた場所にも大きな要因があった! 中華航空120便が到着した41番スポットは国内線ターミナルに隠れ、管制塔からは死角となる場所。

つまり、コックピットからも管制塔からも見えない場所で起きた大惨事だったのだ。

【2019年12月16日13時15分追記】初出時、上記の記述に不正確な部分があったため修正しました。

異常事態に気づいた1人の航空整備士も再現。『日本を変えた!あの重大事件の新事実』はTBS系12月9日(月)よる8時~放送(写真:TBSテレビ)

そんな中、この異常事態にいち早く気づいた人物がいた。1人の航空整備士だ。「航空整備士」とは空港に到着した旅客機をすぐに点検し、安全を確認、次のフライトへの準備を行う仕事。

「Cockpit!Ground, Number Two Engine Fire!」(コックピット、地上でエンジンが燃えている)

整備士からの連絡で、初めて異常事態を知った機長は、自らも黒煙を確認。客室乗務員に緊急事態を通知した。

「乗員に告ぐ。大至急、脱出せよ」

しかし、機長から指示が出されたこのとき、すでに火災発生から59秒が経過。燃料を大量に積んでいるため大爆発も起きかねない。まさに一刻を争う状況だ。

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