2007年「中華航空120便」炎上爆発事故の新事実 乗客乗員165人乗せた旅客機が着陸後に爆発
航空事故において乗客の命運を分ける運命の数字がある。「90秒ルール」だ。機体で緊急事態が発生した場合、乗客全員をを90秒以内に脱出させ避難誘導を行わなければいけないという航空業界で定められている世界基準である。
そんな状況の中、中華航空120便にまたしてもアクシデントが起こっていた。
中華航空120便には、6つの非常口があった。だがその2つ、翼部分の非常口は火災の炎により脱出不可能に。残る4つの非常口から乗客157人を脱出させねばならない。
2つの非常口が使えなくなった今、残る非常口は脱出しようとする乗客であふれかえった。 さらに火災が発生したのはシートベルト着用サインが消えた直後。乗客のほとんどが手荷物を抱えていた。その手荷物がさらに混雑を招き、脱出を妨げる……。
火災発生から90秒を過ぎた頃、ようやく1人目が脱出! 今にも爆発しそうな危機的状況の中、荷物を手に次々脱出する乗客たち。炎は、機体の下をくぐり、反対側のエンジンにまで達しようとしていた。機内では、窓ガラスが割れ始める。
その頃、先ほどいち早く火災に気づいた航空整備士が、消火器を手に炎に1人立ち向い、奮闘していた。その様子も観光客が撮影した映像にとらえられている。
1人、また1人と脱出する乗客たち……カメラは旅客機から脱出する一部始終を記録していた。客室の163人の乗客乗員は全員脱出。
大爆発した機体は真っ二つに!
しかし、機長と副操縦士がまだ中にいる。乗客が脱出したのを確認するも、 黒煙が大きくなる機内、客室の出口に行くことができない。残る2人は、はたして脱出できるのか?
炎に包まれる機体。客室からの脱出を断念し、コックピットの窓から副機長が地上に降りようとしている。
次の瞬間……大爆発が起きた。
爆発の衝撃で、副操縦士が機体から滑り落ち、消火にあたっていた航空整備士たちも、爆風で吹き飛ばされる。機長は副操縦士の後に続き、飛び降りていた。まさに危機一髪の脱出。
そして、大爆発から2分後、機体は真っ二つに!
1台目の消防車が到着したのは全員が脱出してから2分5秒後のことだった。そして1時間後の午前11時37分……火はようやく鎮まった。
現場には後ろ半分が黒焦げになった中華航空120便の変わり果てた姿が。これだけの大事故にもかかわらず、奇跡的にも乗客乗員165人は全員無事だった。
いったい、なぜこんな大事故が起きたのか? 調査の結果、判明した原因は、たった1本のボルトのゆるみだったという。当時の経験を語ってくれた関係者たちは、みな、この事故の教訓が航空機や空港のあり方に生かされることを願っている。
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