トランプ大統領再選を阻む影の勢力の「正体」

民主党は2016年と同じ過ちを犯すのか?

再選するために株を早めに上げるのは必ずしも成功しない。むしろ、モメンタム(勢い)の管理がより重要ということだ。一方で反作用のリスクを承知で、なぜナンシー・ペロシ下院議長は弾劾を決断したのか。

ディープステートの起源は?

恐らく、日本からアメリカを眺める多くの人が疑問に感じるのは、いろんな案件で破天荒なトランプ大統領だが、「なぜ民主党はここまでウクライナ問題に固執したのか」だろう。実はここを押さえることは日米関係にも重要で、そのためには、最近耳にするようになった「ディープステート」という言葉の解説が必要になる。

まず、ディープステートという言葉は、民主党関係者や主要メディアは使わない。使うのはトランプ大統領を支持する側のFOXか、ネット系メディアの人たちである。

筆者がこの言葉を最初に知ったのは、2016年、トランプ大統領が「Drain The Swamp(ワシントンDCのどぶ池の水を抜こう)」というスローガンを掲げ勝利した直後、「ワシントンDCのディープステートが、合衆国憲法25条を使い、民主主義の結果としてのトランプ大統領誕生を否定しようとしている」というウェスタンジャーナルのレポートだった。

初耳だったので調べてみると、語源は100年以上前に遡る。当時はまだ覇権国家だった英国が、英国から覇権を奪うことが確実なアメリカに対し影響力を残すため、まずローズ奨学金を使って優秀な若者をオックスフォード大学へ招く。そして、その若者がハーバード大学へ帰り、次世代のエリートを育むシステムを構築し、そこから巣立った関係者とシステムをディープステートという、との解説があった。

なるほど、確かに冷戦期に活躍したヘンリー・キッシンジャー氏やズビグネフ・ブレジンスキー氏などはこのシステムのなかでアングロ・アメリカンの世界支配を確立した立役者だ。

だが、今トランプ関係者が使うディープステートの意味は全く違う。彼らが指すのは、冷戦終了後のクリントン政権からワシントンの国務省やNSC(国家安全保障会議)傘下のCIA(米中央情報局)やFBI(米連邦捜査局)などの国家機関で活躍してきた高級官僚のことだ。

冷戦終了は世界史上初めて、アメリカの一国による世界支配が始まったことを意味した。この時代の特徴は、ソ連という敵が消えても、アメリカの高級官僚は「アメリカ特別主義(American Exceptionalism)」という理想を掲げ、さらなる高みを目指していたことだろう。その象徴のようなクリントン政権で国務長官を務めたマデレーン・オルブライト氏の有名な言葉、「If we go higher、 We can see further」 (より崇高な理想で自由民主主義を世界の隅々まで。ジョン・ミアシャイマ―教授の講演から)には、1極時代を迎えたアメリカのエリートの意気込みがある。

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