年末調整で見落としやすい7つの節税ポイント 5年前に申告し忘れた所得控除も活用できる

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申告を忘れがちな控除の4つ目は「iDeCo(個人型確定拠出年金)」に関するものです。iDeCoは掛け金を自分で選んだ商品で運用し、将来、年金や一時金として受け取る制度です。掛け金が全額、所得から控除され、所得税や住民税が軽減されるのが大きなメリットなのですが、会社員や公務員がこのメリットを受けるには、年末調整での手続きが必要です。これを忘れる人が少なくありません。

iDeCoの掛け金の控除は「小規模企業共済等掛金控除」として扱われます。年末調整には、10~11月ごろに国民年金基金連合会から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。

年末調整の書類にある「小規模企業共済等掛金控除」の「個人型又は企業型年金加入者掛金」という欄に、証明書に記載されている掛け金の総額を記入します(iDeCoの開始年で、最初の拠出が10月以降だった場合や、拠出が年1回の場合は、年末調整では手続きできず、確定申告をする必要があります)。

iDeCoの節税効果を具体的に見てみましょう。例えば、課税所得が330万~695万円の会社員(企業年金なし)の場合、所得税の税率は20%ですが、上限額(27万6000円)まで拠出すると、所得税と住民税を合わせて8万2800円の節税になります。実質的には19万3200円の負担で、27万6000円分を年金づくりに回せる、というわけです。所得が下がる分、健康保険料の負担も軽減されます。

「ふるさと納税」の控除は年末調整で手続きできない

5つ目は「ふるさと納税」に関係する控除ですが、これは手続きそのものが間違って理解されている、ということが少なくありません。

ふるさと納税は、「寄附金控除」を受けながら、自治体などに寄付ができる制度です。小さな負担で地方を応援できる――というわけですが、「年末調整でどのような手続きが必要か」と、よく質問されます。しかし年末調整で手続きはできません。「確定申告」もしくは「ワンストップ特例制度」を利用する必要があります。

「ワンストップ特例制度」が利用できるのは、確定申告の必要がない会社員や公務員で、1年間の寄付先(自治体)が5つ以内(1つの自治体に複数回寄付しても1自治体とカウントされる)であること、また寄付する都度、寄付先の自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を郵送していること――が条件です。ワンストップ特例制度を利用できない場合は、確定申告が必要です。

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