欧州高速鉄道の「覇者の座」狙うイタリアの野望

フランス、英国の次はスペインに参入表明

西海岸本線フランチャイズは英国第2の高速新線であるHS2の運行権も含んでおり、入札にあたっては高速鉄道の運行およびインフラに関するノウハウを持つ企業であることが条件となっていた。

西海岸本線を走るヴァージントレインズの列車(右)。フランチャイズが切り替わる直前のため、ヴァージン社のロゴが入った赤い塗装ではなく真っ白だ=2019年11月22日(筆者撮影)

入札にはトレニタリアUK・ファーストのほか、1997年以来20年以上にわたって西海岸本線のフランチャイズを守ってきたヴァージントレインズがフランス国鉄(SNCF)を引き入れて参加。香港のMTRもレンフェと手を組んで応札した。

最終的に候補者はこの3社に絞られたが、2019年8月に英国運輸省が発表したのは、トレニタリア・ファーストの名前だった。当面は2031年まで12年間の契約となっており、その後は延長もしくは再入札を行うとしている。

国内では苦い経験も

まさにヨーロッパ内の高速列車市場を席巻しているイタリア鉄道だが、同社には過去に苦い経験がある。

ミラノ中央駅に並ぶフレッチャロッサ・ミッレとイタロ(手前から3番目)。両社はイタリア国内で激しく火花を散らす(筆者撮影)

2012年、イタリア国内の高速列車運行に民間のNTV社が参入、イタリア鉄道は熾烈な顧客獲得競争にさらされることとなった。NTV社の「イタロ」は、利用客のニーズに合わせた低廉な価格設定と4段階に分けられたクラス設定、内装には高級家具メーカー「ポルトローナ・フラウ」製の座席を使うといったこだわりなど、当時のイタリア鉄道にはなかったサービスを売りにして、大きな注目を集めた。

だが何より、この会社の設立メンバーの中に、イタリア人で知らない人はいないだろうという有名人、ルカ・ディ・モンテゼモロ氏の名前があったことが、よりイタロへの注目が増す結果へとつながった。

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