欧州高速鉄道の「覇者の座」狙うイタリアの野望 フランス、英国の次はスペインに参入表明
ヨーロッパを代表する高速列車というと、フランスのTGVやドイツのICEを思い浮かべる人が多いと思うが、全ヨーロッパを制する真の覇者となるのは、別の国かもしれない――。
イタリア鉄道(FS Italiane)は11月27日、旅客列車運行子会社のトレニタリアと、スペインの航空会社エア・ノストラムの2社による合弁企業、ILSAコンソーシアムによって、スペイン国内の高速鉄道市場へ参入することを正式に発表した。
ILSAはすでに、スペイン国内の鉄道インフラを統括するADIFから、同国初の民間オペレーターとして認可を受けており、商用サービスの開始は2022年1月からを予定している。当初の契約期間は10年間。運行区間はマドリードを起点にバルセロナ、ヴァレンシア、アリカンテ、マラガ、セヴィリアへの5路線が設定されている。同社の参入で、スペイン鉄道(Renfe、レンフェ)の高速列車AVEに強力なライバルが誕生することになる。
英仏進出はすでに決定
イタリア鉄道CEO兼ゼネラルマネジャーのジャンフランコ・バッティスティ氏は会見で、「このプロジェクトは、FSグループがイベリア半島の高速鉄道市場へ参入することを示している。今後10年間、スペインで約3億5000万人の乗客がイタリアの列車を利用することになるだろう。競争市場のヨーロッパにおいて、唯一のノウハウを提供できることを誇りに思っている」と高らかに宣言した。
近年、イタリア鉄道は他国への事業展開を積極的に進めている。
すでにフランス国内の高速鉄道市場へ参入することが決定済みで、イタリア鉄道の高速列車「フレッチャロッサ・ミッレ(ETR400型)」がフランス国内で試運転を開始しており、順調に進めば2020年からの営業運転開始を予定している。
さらに、トレニタリアの100%子会社であるトレニタリアUKは、英ファースト社と共同で英国の西海岸本線フランチャイズへの入札を行った結果、2019年12月からの運行権獲得に成功した。
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