「ロッキー」「ライズ」に見るカーナビ戦略の迷い ダイハツコネクトがDCMを搭載しない理由

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ダイハツは、なぜディスプレイオーディオを標準装備にしなかったのだろうか。

今回の試乗会の席上では「軽自動車などダイハツの既存客は高齢者などが多く、利便性を念頭に従来型ナビを存続するべきだと考えた」とダイハツ関係者は説明する。ダイハツとしては、ロッキーは軽自動車からのアップグレードを狙っている。また、トヨタとしては、ミニバンやコンパクトカーからライズへのダウングレードが狙いだ。

ならば、なおのことライズでもトヨタブランドとしてディスプレイオーディオの標準化を進めるべきではないだろうか。今回は、ダイハツコネクトとTコネクトの共存共栄を図るため、従来型ナビのディーラーオプションを許諾したのだろう。

カーナビはディーラーの収益源

さらに私見であるが、ダイハツとしてはディーラーに対する配慮があったように思える。

ディーラーにとってカーナビは貴重な収益源である。一般的にディーラーの収益構造は、全体の約8割がメンテナンスによるもので、新車販売の粗利は新車価格の十数パーセント(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会などの資料)と少ない。

新車価格が100万~200万円の軽自動車やコンパクトカーを売るダイハツディーラーにとって、ディスプレイオーディオの標準装備は正直なところ受け入れがたいはずだ。

トヨタTコネクトによる、スマホ上のスマートデバイスリンク画面(筆者撮影)

とはいえ、まずはロッキーがダイハツにとってのディスプレイオーディオの門戸を開いた。近い将来、軽自動車でもディスプレイオーディオ、さらにDCMも搭載してくるだろう。

なぜならば、2020年5月を期限とする、全国トヨタでの全店舗全車種併売がきっかけとなり、トヨタのディーラー大再編が始まることは確実な情勢であり、その中でダイハツを含むトヨタアライアンス各社のブランドの併売化の動きが出てくる可能性もあるからだ。

そうなれば、どこかのタイミングで、ダイハツ全モデルにもDCMが搭載され、ダイハツコネクトとTコネクトが融合することになるはずだ。それまでの間は、ダイハツとしてトヨタグループ内での自社の立ち位置を探すべく、ダイハツコネクトを通じた顧客やディーラーの声に耳を傾けることになる。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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