ただ、その状況も変化してきている。企業の採用支援を行っているワークスジャパンの清水信一郎社長は「以前の就活では、大学でのガイダンスを受けてから就活にのぞみ、キャリアセンターもサポート力を発揮していたが、今は、ガイダンスの前にインターンシップに参加している。早くから企業情報も集めているため、学生のほうが企業に詳しい状況も出てきている」と言う。
そのキャリアセンターにアンケート調査を実施し、449校から回答があった。その中で学生に人気の業種を5つ聞いた。1位は公務員の54.4%、次いで食品とサービスがともに35%、以下、教員、銀行、商社、情報の順となった。昨年2位だった銀行が5位に落ちている。
メガバンクが採用者を減らしていることに加えて、地方銀行の経営状況が厳しいことも影響している。そのため地元就職を考える学生は、公務員を志向する傾向が強くなっている。教員も公立校の教員になれば地方公務員だ。国公立大の教員養成系学部は全国に設置されていることもあって人気が高い。
1位全日空、2位JR東日本、3位日本航空
アンケートでは、「学生に勧めたい大手企業はどこか」も調査している。それをまとめたのが「学生に勧めたい大手企業ランキング」だ。6社連記で記入してもらい、1番目に書いてある企業を6ポイント、2番目を5ポイント、3番目を4ポイント、3、2、1……として集計した。
トップは全日本空輸、2位はJR東日本、3位は日本航空、4位はトヨタ自動車、5位はJR東海の順。まさに大企業ばかりだ。トップ3に全日本空輸、日本航空が入っているのはキャビンアテンダント志望者が多く、この2社を勧めていることもあるのだろう。インフラ系の企業が強く、JRは全社がランクに入っているのも特徴だ。
6位には昨年の36位から躍進した日本郵政グループが入った。清水社長は「日本郵政は全国にあることに加えて、総合職で200~250人採用し、転居を伴わないエリア総合職も採用している。それが人気の要因となっており、地方公務員人気と連動している」と言う。
ただ、このアンケートは、日本郵政グループのかんぽ生命の不適切契約問題が発覚する前に実施した。今では勧めないかもしれない。
自動車業界では、4位にトヨタ自動車、20位にホンダ、27位にスズキ、31位にマツダが入っている中、日産自動車がトップ100のランク外になっている。それは、前会長のカルロス・ゴーン被告が逮捕された事件の影響もあると思われる。
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