伝説の高級小型車「BMC ADO16」はすごかった 別名「小さなロールスロイス」で貧乏旅行!?

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2台とも中古で買ったが、伊勢丹オート(新宿伊勢丹百貨店の地階にあった)の仲介だったので、共にコンディションは文句なしだった。

1台目の1100はブリティッシュグリーンとオフホワイトの2トーン。これはオリジナルのまま乗った。2台目の1300はオフホワイトのモノトーンだったが、退屈なので塗り替えることにした。

色は深みのあるワイン系の赤とオフホワイトの2トーン。ホワイトの部分も塗り替えた。

小さな高級車と呼ぶに相応しい佇まい

お願いしたのは、板金、塗装、磨きの凄腕職人がそろった名門「わたびき」。今も昔も「知る人ぞ知る」存在であり、多くのロールスロイスやフェラーリ等がお世話になっている。

そんな名門工場にMG1300ごときを持ち込むのは抵抗もあったが、伊勢丹モータースとは太いパイプがあったため、喜んで引き受けてくれた。

むろん費用はかかったが、すばらしい仕上がりは費用以上の満足感を与えてくれた。

赤白2トーンも大成功。街でも多くの人目を引いたし、仲間にも自慢できた。

クルマ仲間に「いいね!」といわれたとき、「わたびきで塗装したんだ」と返すと、「いいね!」のトーンはさらにハネ上がった。

そう、「わたびきで塗装する」ことは、クルマ好きの間では「ステータス」だったのだ。

ウッドとレザーで仕上げられた内装も、わたびきの塗装に見合うレベルの雰囲気だったし、僕のMG1300は、まさに「小さな高級車」と呼ぶに相応しい装い/佇まいだった。

走りもよかった。ミニ・クーパーSと基本的には共通のエンジンは、一回り大きな車体をも活発に引っ張ってくれた。

ラバーと液体を使った独特の前後輪関連懸架装置=ハイドロラスティック・サスペンションも快適な乗り心地と、高いレベルの身のこなしをもたらしてくれた。

ミニクーパーSのようなヤンチャさはないが、峠を走り抜けるアベレージはかなり高かった。「MG」ブランドを背負うに不足のない走りだった。

兄はADO16シリーズの最上位に位置したバンデン・プラ・プリンセス1300を買った。深く艶やかなグレー系のボディと、威厳あるフロントグリルは、小さいながらも周りを圧倒する雰囲気があった。

ウォールナットと最上の革を使った内装も「ミニ・ロールス」のニックネームに負けないものだったし、前席背後のピクニックテーブルも高い演出効果をもたらしていた。

基本を共有する小さなクルマが、大衆車ブランドのオースチンやモーリス、スポーツ・ブランドのMG、中級ブランドのライレー、ウーズレー、高級ブランドのバンデン・プラを演じきる……よくできたものだと思う。

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