伝説の高級小型車「BMC ADO16」はすごかった 別名「小さなロールスロイス」で貧乏旅行!?
これを、当時のカローラやサニー、あるいはルノーやフィアットに置き換えてみれば、どう考えても「無理」だと誰もが思うだろう。
高額を払って、カローラを「わたびきで塗装」する気になるだろうか。これまた、どう考えても答えは「ノー」。
「なぜか?」……僕は、基本的な違いは「気品とエレガンスをもった佇まい」の有無にあると思っている。そう、謎解きのヒントは「ピニンファリーナ」にあるということだ。
改めて「すごいクルマ」だと思わされた一幕
1964年、初めて海外に出たとき、ロンドンにも2週間ほど滞在したが、そのときの足に使ったのがバンデン・プラ・プリンセス1100。
怖いもの知らずで恥知らずの若いバックパッカーが、BMCでプレスカーを借りたのだが、思い出すだけで赤面する。
知人の日本人に紹介され、すぐ仲良くなった若い自動車好きのロンドンっ子に、「このクルマ、君には似合わないよ」「君の乗るクルマじゃないよ」と言われたことを思い出す。
初めは何を言われているのかさっぱりわからなかった。が、「このクルマ、小さなロールスロイスって呼ばれているんだよ!」と言われて、ようやく気づいた。
クルマを交換するのが面倒くさかったのでそのまま乗り続けた。が……以後、周りの目がすごく気になって仕方がなかった。安い場末のホテルに駐めるのが恥ずかしかった。その気で周りを見ると、確かに場違いだった。
そんなことを思い出しながらADO16のあれこれを考えると、改めて「すごいクルマだったんだなあ!」と思う。
(文・岡崎宏司)
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