「アナ雪2」さえ油断できない中国の強烈な検閲 「クマのプー」やタランティーノも泣きを見た
同作の場合、幽霊というコンセプト自体が問題だったのではと推測されている。逆に、同性愛要素のせいで無理だろうと思われていた『ボヘミアン・ラプソディ』は、アメリカ公開から4カ月半遅れて、公開許可が出るというサプライズがあった。
ただし、男性同士のキスシーンや、「ゲイ」という言葉が出てくるシーン、クイーンのメンバーたちが女装姿で「I Want To Break Free」のミュージックビデオを撮影するシーンなどをカットするという条件付きだ。
そんなふうに多くの制約がある市場に挑むにあたり、スタジオにとって頼りになるのが、中国のパートナー企業だ。売り出し方を熟知しているし、彼らが出資することで作品が「米中合作」となれば、34本の外国映画公開枠という制限からも解放される。
タランティーノが直面した大問題
しかし、それでも公開禁止の不安は払拭できない。その事実は今年、タランティーノの最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が見せたばかりだ。
この映画の世界配給権はソニー・ピクチャーズが持つが、中国だけに関しては、同じく出資会社の1つである中国の大手映画製作・配給会社のボナ・フィルム・グループが持っていた。
しかし、公開の1週間ほど前になって、中国政府は同作の公開にストップをかけた。いつものことながら理由の説明はないが、おそらく「ブルース・リーの描写」が問題ではないかという説が有力だ。
作品を観た人ならご存じのとおり、同作には、リーがブラッド・ピット演じるスタントマンと素手で決闘するシーンがある。そこで勝つのがピットであるばかりか、リーの態度が傲慢でいやみったらしく見えることから、娘のシャノン・リーが、アメリカ公開当時から「ひどい侮辱」と猛烈に批判をしてきた。
タランティーノは反論のコメントを出したが、彼女は中国政府に対し、直々にシーンのカットを嘆願したとのこと。それが原因かどうかはわからないまま、中国政府から公開禁止の通告を受けたボナ・フィルムは、慌ててタランティーノに問題箇所のカットを要請したようだ。それでも、まだ同作の公開のメドは立っていない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら