英国人の階級意識に火をつけた衝撃レポート 16万人参加、700万人アクセスの新階級調査
何十年にもわたって、貧しく恵まれない人々という烙印を押すのに用いられてきた「アンダークラス」というラベルの代わりに、私たちは「プレカリアート」という言葉を意図的に選んだ。
プレカリアートの世帯所得は際立って低く(1ポンド135円換算で108万円)、貯蓄はあってもごくわずかで、借家住まいが多い。社会的ネットワークの数も最も少なく、自分よりステータスの高い職業の人とはほとんど交流がない。文化資本もごく限られている。
しかし、だからといって、プレカリアートが道徳的に堕落しているという根拠はまったくない。他の階級に比べると社会的ネットワークは限られてはいるが、それなりに幅広いネットワークを持っているかもしれないし、文化的な何らかのことにかかわっているかもしれないのだ。
中間にある5つの階層とは
エリートとプレカリアートでは特徴が顕著なのに対し、その間に挟まれる5つの階級の違いは複雑だ。
「新富裕労働者」と「技術系中流階級」は社会関係資本や文化資本に比して経済資本が豊富である。「新富裕労働者」はそれなりに豊かに暮らしているが、文化的活動はそれほど活発ではない。
また、「新興サービス労働者」は文化資本と社会関係資本は豊かだが、経済資本に乏しい。
人口の約40%を占めるこの3つの階級では、経済資本、文化資本、社会関係資本の3つの資本を同量ずつ所有しているのではなく、偏りがある。このことから、階級の境界線を完全に明確に引くのが難しい理由がわかるだろう。
中間層のうち、「確立した中流階級」と「伝統的労働者階級」はどちらも経済資本、文化資本、社会関係資本を偏りなく所有するが、確立した中流階級のそれはエリートよりかなり少なく、伝統的労働者階級はプレカリアートより多い。
以上のパターンから、明白なまとまりである「専門職・経営管理部門」とか、あらゆる種類の定型労働に就く人を含む「労働者階級」などとして分類するのが難しい人たちの存在が浮かび上がる。つまり、社会構造の中間の部分の区別は複雑かつ曖昧で、一貫した「中流階級」や「労働者階級」というものを定義するのは不可能だということだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら