ベルギーで「日本食人気」がじわり期待できる訳 サッカーのシント=トロイデンVVが一役買う
日本産の食材をベルギーで認知・拡大する――。
「ジャパンデー」と名付けられたイベントを、サッカー・ベルギー1部リーグ所属のシント=トロイデンVVが、日本の農林水産省とJETRO(日本貿易振興機構)の協力のもと2019年10月末に開催した。
シント=トロイデンVVとは2017年11月にゲームや動画配信などを手がけるDMM.com(DMM)が経営権を取得したチームだ。サッカー日本代表のGKであるシュミット・ダニエル選手や、MFの伊藤達哉選手、FWの鈴木優磨選手らが所属している。イタリア1部ボローニャに所属する日本代表・冨安健洋選手が今夏まで所属していたチームでもある。日本人選手を獲得し、チームを強化すると同時に、サッカー以外の分野でも事業を展開しているのだ。
ベルギーは国土が九州ほどの広さで、人口は約1100万人と日本の12分の1ほど、経済規模は約57兆円と日本の10分の1といった規模だ。それでも、首都ブリュッセルにはEUやNATOの本部が置かれており、各国から多数の企業が進出している。2018年の日本からベルギーへの輸出額が7526億円に対して、ベルギーから日本への輸出額は3387億円だった。両国の輸出入額は年々増えている。
EPAの発効も追い風に
「2013年に日本の和食がユネスコの無形文化遺産に登録されてから、日本食が世界的に注目を集め、ブームとなっています」
こう語るのは、蒔苗義昌氏(農林水産省 食料産業局食文化・市場開拓課課長補佐)だ。2006年の日本食レストランの店舗数は世界で2.4万軒だったが、現在では約12万軒に増加した。日本では人口減少もあり、食の市場規模は縮小傾向だ。しかし世界全体で考えると日本食は拡大する見込みがある。
農林水産省では日本の食品・食材の輸出とインバウンドを活性化させることで、世界中で日本食のファンを増やし、2020年の輸出額を1兆円(2014年が6117億円)にすることを目標に掲げた。今回のジャパンデーに協力したのはその一環といえる。
これまで日本の食材輸出は高い関税がかかる欧州ではなく、低い関税で済むアジア地域が大半を占めていた。しかし、2019年2月の日EU経済連携協定(EPA)の発効に伴い、ほぼすべての品目の関税撤廃が決定したことで、大きなチャンスが到来したのだ。
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