都心優良ビルも競って“値引き” 空室率は峠を越えたが賃料に底打ち感なし《特集・不動産/建設》

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 もっとも、その丸の内でも空室率は上昇傾向にある。同地区の空室率は08年3月が0・19%とほぼフル稼働状態だったが、今期は第1四半期を終了した段階で2・26%まで上昇(三鬼商事調べ)。今年4月に開業した丸の内パークタワーは三菱商事、新日本製鉄などをテナントにほぼ満室だが、賃料は都内最高の坪8万円から7万円程度に下がっているようだ。しかし、借り増し需要も考えると5%程度が適正といわれる空室率からすれば、依然、競争力は群を抜いている。

大手不動産会社の競争も一段と激化

今後について、三菱地所の長島俊夫専務は「グローバルな都市間競争の中で独自の魅力を発揮する必要がある」としながら「オフィス選択の基準として重視されてきている環境要素を積極的に取り込んでいく」と言う。こうした視点から同社では、丸の内再開発第2ステージの2棟目として旧東銀ビルを建て替える「丸の内1‐‐4計画」(12年1月竣工予定)や、隣接する大手町で官民共同の「連鎖型再開発」の第2次計画に取り組む。

他社はどうか。三井不動産は現在、地盤である中央区の日本橋再開発に注力しているが、丸の内・大手町での開発も進めている。たとえば、旧JFEビルの建て替えである丸の内1丁目プロジェクト(10年3月竣工予定)。さらに、07年11月に取得した三井生命大手町ビルの建て替えを予定しているが、同ビル周辺との一体開発の可能性がある。

また、住友不動産は新宿に拠点を持つが、同地域では三菱地所や三井不動産のような面的な開発を行っていない。そのためか、所有ビルは都心7区に約200棟あり、現在は文京区や西新宿の開発を行っている。従前から比較的コストを抑えられる法定再開発を得意としているが、今後は都心3区、とりわけ丸の内・大手町地区では丸の内1丁目の新住友ビルを橋頭堡として本格的な参入が想定される。

一方、東京以外の大都市に目を転じると、オフィス市況は一段と厳しさを増している。右下に主要都市の空室率と賃料動向を示したが、特に空室率は東京の水準を大きく上回っており、全般に悪化が続いている。みずほ証券の予想では、大阪については、オフィス賃料は14年まで下落が続き、空室率は12年に10%まで上昇する。 

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