ヤフーとLINE「統合」実現すれば何が起こるのか

交渉の事実は認める、カギはスマホ決済だ

あらためて確認しておきたいのは、フィンテック事業の中心にあるのはLINEペイだということです。LINEペイを起点に、資産運用や保険、ローンなどの金融事業を総合的に展開するのが、LINEのフィンテック戦略だと言えます。

LINEペイは「LINE上から送金・決済をする」サービスとして2014年12月にスタートしました。そこから、プリペイドカードやQRコード決済、クイックペイへと機能を拡張してきた経緯があります。LINEアプリ内に組み込まれているため、わざわざ専用のアプリをインストールする必要がありません。その手軽さは、他社の決済アプリと比べても群を抜いています。

そして、その強みを背景として、オンライン銀行としてはみずほ銀行との合弁企業、オンライン証券としては野村證券というそれぞれの分野のガリバー企業と協業することにもこぎ着けたのです。

 アリババに見える孫氏の狙い

最先端のフィンテック大国である中国では、アリババが手掛けている決済アプリ「アリペイ」と、テンセントが手がけるメッセンジャーアプリ「ウィーチャット(WeChat:微信)」のウォレット機能「ウィーチャットペイ」が熾烈な争いを繰り広げています。

アリババのビジネスモデルを見ると、アリペイは「入り口」で、そこからアリババのEC小売りサービスや金融サービス、各種の生活サービスなどに導かれる仕組みになっています。

このアリババの事業構造にこそ、ソフトバンクグループ孫正義社長の狙いを読み解く核心があります。決済ビッグデータを取得するとか、ましてやデジタルでの広告収入を伸ばそうというような「小さな」話ではないのです。アリババの筆頭株主として取締役会メンバーでもある孫社長は、このビジネスモデルを熟知、アリババとテンセントのこれまでの熾烈な争いも間近で見てきました。覇権争いの厳しさを痛感してきたことでしょう。

中国はアリババに任せるとして、日本では自分たちがそれ以上のプラットフォームをやっていかなければならないと考えたとき、最も重要な入り口となるアリペイに当たるサービスこそペイペイなのです。だから、ソフトバンクグループはPayPayの最大出資者となりました。その戦略的重要性は計り知れないほど高いと言えるでしょう。

このような中で今回明らかになったヤフーとLINEとの経営統合。LINEやPayPayから、各種の金融サービス、EC小売り、さらには旅行・通信・電力・モビリティーへと誘導する巨大なプラットフォームが形成されます。

両者の組み合わせによるインパクトとしては、顧客基盤と顧客接点が挙げられます。デジタルトランスフォーメーション時代の顧客基盤とは、ずばりスマホの中で親密な顧客接点をいかに持つかという点に集約されているなかで、LINEというコミュニケーションアプリと各種サービスを展開するソフトバンク側の企業連合は、国内ナンバーワンの顧客基盤を持つ連合として躍り出たと言っても過言ではないでしょう。

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