ヤフーとLINE「統合」実現すれば何が起こるのか 交渉の事実は認める、カギはスマホ決済だ

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ペイペイはEC・リアルでの各種決済に加えて公共料金や税金の支払いにも対応し、送金や割り勘、ギフトやお年玉などP2Pソーシャル機能も付いています。ペイペイ口座からの出金といった資金移動もすでに可能で、今後はローン・小口融資・MMF・投資・保険・後払いなどの本格的な金融サービスの提供も見据えています。

ソフトバンクの宮内謙社長は11月に開いた決算説明会でアリババ・グループの金融事業会社「アントフィナンシャル」が提供する決済サービス「アリペイ(Alipay)」のビジネスモデルを引用し、この金融サービス分野こそ「これからいちばん伸ばせる」「フィンテック領域」としました。

さらに、登録ユーザー数が伸びていけばペイペイは「決済アプリ」から「スーパーアプリ」へと変貌し、「このスーパーアプリをベースにして、いろいろなビジネスを展開することができる」と高らかにうたいました。

入り口として機能するペイペイ

2019年11月現在、ヤフーは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの連結子会社化を目指してTOB(株式公開買い付け)を実施中です。また、10月には、ECサイト「ペイペイモール」とフリマサイト「ペイペイフリマ」をオープンさせています。

つまり、拡充される「ペイペイ」を顧客接点にして、従来の広告事業に加えてフィンテックなど金融関連事業、EC小売りやオンライン・オフラインの継ぎ目のない多様なサービスを提供していくということを狙っています。

宮内社長は決算説明会で、「アリババにTモールやタオバオがあるように、われわれにもヤフーショッピング、ペイペイモール、ペイペイフリマといった陣形ができつつある」と語っています。

筆者は、宮内社長の言葉から、ソフトバンクグループ孫社長の戦略における2つの意図を読み取ることができると考えています。

1つは、ペイペイを、EC小売り事業を先鋭化させるとともに、広範な生活サービス全般へ顧客を誘導するための入り口として機能させるということ。もう1つは、その中でもEC小売りを中核で機能させる必要があるということです。

次にLINE側を見ていきましょう。

LINEペイが競合他社に先行して2016年にリリースしたQRコード決済は「加盟店の導入費用ゼロ、今後3年間は決済手数料無料」という赤字前提の大攻勢で話題をさらいました。LINEペイの戦略は、キャッシュレス化が進んでいない中小店舗に重点を起き、キャッシュレス導入にあたって障壁になっていたコストをゼロにするものです。これにより、2018年度内に100万加盟店を確保するという目標を掲げました。

【2019年11月14日16時30分追記】初出時、LINEペイのリリース開始時期に誤りがありましたので上記のように修正しました。

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