がん情報のネット検索で絶対に外せない6原則 信頼できる発信元選び、つけこまれないために

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(2)各がんの診療ガイドラインを読む

現在、各種のがんの治療に関しては、専門医が集まった医学系学会で最新の研究に基づいて科学的に根拠が確かな治療法と治療方針を明示した「診療(治療)ガイドライン」を作成している。もし、新たな治療法が開発され、その科学的な信頼性が認定されたら、ガイドラインはその都度改訂される。つまり最新治療がまとまっているのがガイドラインである。

こうしたガイドラインは公益財団法人日本医療機能評価機構が運営するMindsガイドラインライブラリで公開されているもの、各学会のホームページのみの公開、インターネット上では公開せずに書籍として出版されているものに分かれる。

あくまで医療従事者向けなので初めて読むと難解だが、まさにインターネットがある現代では、わからない専門用語も検索してみれば該当する解説が見つかることがほとんど。

また、そうした専門用語は何度も繰り返し出てくるので、最初は面倒でも一度調べて理解してしまえば後半になるほど難解さは薄れてくる。ちなみに日本乳癌学会などのように患者向けにガイドラインを解説しているケースもある(「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版」)。

(3)調べるときは「がん」「癌」の単語の両方を使う

メディアなどでは「がん」と表記することがほとんどだが、一般的には「肺がん」「乳がん」などの固形がんと言われるがんは医学用語では「癌」と表記するので、検索の際は「肺癌」「乳癌」のように「がん」を「癌」に置き換えた検索も必要。このほうがより適切な検索結果が表示される傾向がある。

「がん 治る」と検索してはいけない

逆にやってはいけないこともある。その代表例を3つ挙げよう。

① 「○○がん(癌)AND 治る(治癒)」の検索

インターネットで検索するときに最初にキーワード入れ、その後にスペースキーを押してほかのキーワードを入れることで2つのキーワードがともに含まれる「AND検索」ができるのは周知のこと。ただ、がんの情報を検索する際の「AND検索」で使用するのを避けたほうがいいキーワードがある。それはズバリ「治る」「治癒」。

がんになったら完全にがんが体内から消えてほしいと思うのは万人の願いだろう。だが、やや残酷な物言いだが、他臓器への転移が始まっている一般的にステージ4という進行度に分類されるがんの場合、一般の人が考える「治る=がんが消失する」が実現するのは現在最先端の治療を駆使しても極めてまれ、極端に言えば、ないと言っても過言ではない。

とりわけこのような状態の場合、例えば「乳がん AND 治る」で検索すると、科学的には効果が実証されていない治療やがん患者を対象としたビジネス色の強いページなど、はっきり言えば患者を食い物にするかのようなページが表示される確率がぐんと高まる。これはもっと早期のがんでもおおむね同様の傾向である。

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