がん情報のネット検索で絶対に外せない6原則 信頼できる発信元選び、つけこまれないために

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②検索冒頭の「広告」のページにはアクセスしない

インターネットのキーワード検索ではおおむね検索結果の冒頭のページから読み始める人がほとんどだろう。だが、ご存じのようにほとんどの場合、冒頭には「広告」ページが表示される。

現在、グーグル、ヤフーの検索などで例えば「乳がん」と入れると、最初に「広告」の付記があるページが表示され、その下に前述の国立がん研究センターの「がん情報サービス」の乳がんのページが表示される。

がんに関する情報検索ではこうした「広告」ページは飛ばして、広告と表示されていないページからアクセスすることをお勧めする。「広告」に表示されるページは、ごく一部に患者団体などのページが表示されることもあるが、ほとんどの場合は特定のクリニックの宣伝などが多く、中立的ではない情報、もっと言えば科学的に効果が証明されていない治療法が表示されることが少なくない。

食事でがんが改善することはほぼない

③ がんに対する食事療法の情報は無視

一般にインターネット上でも一部書籍や雑誌でも特定の食品などを挙げて「○○でがんが治った」「○○でがんが消えた」というものは少なくない。これはがんにかかったときに患者自身や家族が手に届きそうな改善策が食事くらいしかないためだと思われる。

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だが、すでに発症したがんが、特定の食品を食べたり、食事全体の改善のみで消えたりするようなことは科学的に証明されておらず、ないと言い切っていいほどだ。現に前述の国立がん研究センターの「がん情報サービス」でも、体力の低下防止や治療薬の副作用で食事をとりにくい場合などでの対処法などの記載はあるものの、特定の食品についてがんに効果があるなどとは記載していない。がんに関して特定の食事療法を推奨するような情報は無視してほしい。

先ごろ著名人がブログなどに書いていた「血液クレンジング」が医学的根拠はないということで炎上したように、インターネット上にはかなり不確かな医療情報が跳梁跋扈しているのが現実だ。

そして中にはそうしたものを国家資格の医師免許を持つ医師自身が行っている嘆かわしいケースもある。だが、そうした不確かな医療に不幸にも遭遇してしまう確率は、前述の合計6つのポイントを守るだけでもかなり下げることができる。

同時に心得ておいてほしいのは、こと日本での医療に関しては、医療保険適用外の治療を受けることは症状改善の点でほぼ意味がないと言ってもいいくらいだということ。基本的にがん治療をはじめ、日本の医療ではレストランのコース料理のようにより高いお金を払ったからといって、よりよいものを得られることはないと肝に銘じておくべきだ。

村上 和巳 ジャーナリスト

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むらかみ かずみ / Kazumi Murakami

1969年宮城県生まれ。中央大学理工学部卒業後、薬業時報社(現・じほう)に入社し、学術、医薬産業担当記者に。2001年からフリージャーナリストとして医療、災害・防災、国際紛争の3領域を柱とし、『週刊エコノミスト』、講談社Web「現代ビジネス」、毎日新聞「医療プレミア」、『Forbes JAPAN』、『旬刊医薬経済』、「QLife」、「m3.com」など一般誌・専門誌の双方、ネットで執筆活動を行う。2007~2008年、「オーマイニュース日本版」デスク。一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会運営委員(ボランティア)。著書に『化学兵器の全貌』(三修社)、『ポツダム看護婦(電子書籍)』(アドレナライズ)など、共著に『がんは薬で治る』(毎日新聞出版)、『震災以降』(三一書房)など。

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