米財務長官、新興国の批判に反論 「新興国の批判は、お門違いだ」
[シドニー 21日 ロイター] - 週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控え、ルー米財務長官など先進国の閣僚から、先進国の金融政策を批判する新興国に反論する声が出ている。
新興国は、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小が自国経済に悪影響を及ぼすと批判しているが、先進国は新興国の経済問題の多くは国内に原因があると主張。
ルー長官はシドニーの金融会合で「新興市場は国内の財政健全化と構造改革に向けた対策を講じる必要がある」と発言。
麻生太郎財務相も閣議後会見で「新興国側にしてみれば、(米国の量的緩和縮小で)通貨安や資本流出が起きたりする」としながらも、大きな経常赤字を抱えた国が多いことを挙げ、新興国には「自助努力でこういうことを是正することが重要だ」と語った。
ルー長官は、中国・日本・欧州に対しても内需の拡大を要求。「米経済の回復は健全で正しい方向に大きく動いており、回復ペースも増しているが、他の経済大国の需要・成長不足は補えない」との認識を示した。
韓国の玄オ錫(ヒョン・オソク)企画財政相は、FRBは新興国経済への影響を軽減するため、秩序ある慎重なペースで緩和縮小をすべき、との考えを示した。
成長率の目標設定を支持する声も
議長国を務めるオーストラリアのホッキー財務相は、経済成長の目標設定を目指している。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、これについて「良いアイデアだ。潜在的にできることは残されている。各国が行動を起こせば良いだけだ」と発言。
オズボーン英財務相も「目標や野心で一致できるのであれば良いことだ」と述べた。
ただ、ドイツ政府筋は「やや時代遅れの経済計画」と批判。G20としての目標設定は、過去にも摩擦を生んだ経緯があり、財政赤字や経常赤字に目標を設定する案も結局失敗に終わった。
経済協力開発機構(OECD)は21日、世界経済が低成長および高失業率の局面に再び陥らないようにするために、生産性を高め貿易障壁を減らす抜本的改革が急務とする報告書を発表している。
OECDのグリア事務総長は「G20財務相に対するOECDのメッセージは明確だ。構造改革を進め、力強く持続可能な、均衡のとれた、誰もが恩恵を受けられる経済成長を実現すべきだ」と述べた。
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