16歳男子高校生が「種」を売る何とも壮大な理由

わずか15歳で種苗会社を立ち上げた

起業にあたり、小林氏はまず父の了解を得るため、企画書をまとめた。書類を作ったのは、小林家にはおこづかい制度がなく、欲しいものを親に説明してお金をもらい、購入後は領収書を渡す習慣があったからだ。父は、驚きつつも会社形態にすると責任も持つのでよい経験になる、と認めてくれた。

両親は会社勤めで親戚は教員中心と、種の会社を設立する手続きについて詳しい大人は周りにいない。小林氏は、インターネットや法律関係の書籍などで調べ、種苗店にも相談した。

「中学生がアポイントを取ろうとしても、絶対断られる。直接社長に会えそうな小さな会社へ行こうと、社長が日本種苗協会の理事をしている埼玉県の野原種苗を訪問しました。販売する種の袋に書く情報や、写真の版権についてなど、いろいろ教えていただいてお世話になりました」

多くの人に支えられ事業が広がっていく

10代の小林氏は、たくさんの人に支えられている。いちばんの支えになっている両親は、折々に助け舟を出してくれた。栽培について詳しいのは農文協の書籍、と教えてくれたのは母。同僚から群馬県伊勢崎市に畑を借り、開業届を出すのに同行してくれた父。

小学生のときに母に連れられて行った食のイベントでは、農文協に知り合いができた。そして、当時同協会が発行していた『のらのら』という子供向けの農業誌で取材された。小学校6年生のとき、同誌の企画で都内に住む種採り名人から、種の採り方を教わったのである。

「その方はサラリーマン。会社の屋上の菜園で、公園で落ち葉を拾って堆肥を作り有機栽培しているんです。都会に住んでいても、自分で動いたらできることがあるのではないか、と気づかされました」と小林氏は話す。

中学校の課題の職場体験でも、農文協で編集補助をさせてもらった。親しくなった編集者に、畑で野菜が穫れすぎた話をすると「売りにおいでよ」と言われ、イベントで販売させてもらったこともある。店を手伝ったからと農文協の本をもらい、野菜を詰めてきた段ボールに、今度は欲しい本を詰めて帰る。そして野菜や種についての知識をたくさん教えてもらってきた。

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