引責観測も飛び出すスターフライヤーの苦境 赤字転落の中堅エアラインに襲いかかる"3つの敵"
今年度、売り上げを伸ばした要因は、2013年春の発着枠拡大を受け、羽田空港発着の国内線を大幅に増便したことにある。スターフライヤーは羽田―福岡線を従来の1日5往復から10往復に倍増。羽田―関空線も同4往復から同5往復に増やした。
ところが羽田―福岡線は、スターフライヤーだけでなく、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、スカイマークなどの競合にとってもドル箱路線。各社が一斉に羽田―福岡線の便数を増やしたことで、「供給過剰になってしまった」(大手航空会社関係者)。
2012年度は平均で7割以上をキープしていたスターフライヤーの羽田―福岡線の搭乗率は、2013年度上期(4~9月)は63.2%まで低下。国内外全4路線の平均搭乗率も63.8%と低迷している。想定どおりに利用率を伸ばせず、増便にかかるコスト負担だけが重くのしかかってしまった。
加えて打撃を与えたのは、急激に進行した円安ドル高だ。航空会社は機材や燃油をドル建てで調達しており、これが採算悪化に拍車をかけた。
スターフライヤーは昨年11月に経営合理化計画を発表。不採算路線からの撤退や希望退職者の募集、委託契約や利用施設の削減などを進めて、2014年度以降の業績回復をもくろんでいる。
削がれていく“強み”
スターフライヤーが使用する機材はエアバスの「A320」型機。LCC(格安航空会社)であれば通常170~180席を取る機体だが、スターフライヤーは144席(一部150席)として座席間隔にゆとりをもたせた。さらにオリジナルコーヒーを提供するなど、機内での快適性を売りとしてきた。また運賃設定では、スカイマークよりは高いが大手よりは安いという“すき間”を狙ってきた。