箱根の台風被害で問われる「災害報道」のあり方 「温泉供給停止施設数」の報道は適切だったか
台風19号の記録的な豪雨による被害を受けた箱根では、間もなく本格的な紅葉シーズンを迎える中、復旧作業が進んでいる。一方で、一部メディアにより、箱根の被害が実態よりも過大に報じられ、「箱根イコールまだ危険」というイメージが広がっている印象がある。復旧の状況をお伝えするとともに、災害時の報道のあり方を改めて考えてみたい(復旧状況は、11月1日の執筆時現在の状況)。
着実に進んでいる復旧作業
まずは、復旧の状況をお伝えする。土砂流出の被害を受け、立ち入り禁止になっていた仙石原の「ススキ草原」では、地元の要望を受けて町が急ピッチで遊歩道の復旧工事を行い、約700メートルの遊歩道のうちの約150メートル区間が10月29日から立ち入り可能になり、観光客の姿が戻りつつある。
また、湖水があふれ、水が引くとともに漂着した大量の災害ゴミが残った芦ノ湖では、10月30日に地元地域とボランティアにより美化清掃作業が行われた。
交通インフラに関しては、国道138号線が宮城野―仙石原間で発生した土砂崩れにより一部通行止めになっているのと、箱根登山鉄道の箱根湯本―強羅間が土砂崩れや橋梁の流出等の被害を受け運休になっているほかは、「主なものは、ほぼ復旧が完了している」と箱根DMO(箱根町観光協会)の佐藤守専務理事は言う。
箱根登山鉄道の運休区間では代行バスが運転されており、バスで強羅まで上がり、ケーブルカー(強羅―早雲山、10月16日に運転再開)、ロープウェイ(早雲山―桃源台、同26日に全線で運転再開)を経由し、芦ノ湖の海賊船等を乗り継いで周遊する、いわゆる「ゴールデンルート」はすでに確保されている。
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