「勉強しない」と決めることがやる気への第一歩 「スイッチ」ではなく「すごろく」で動く
授業中、退屈そうにしている生徒。それを見て、教師は内心「あいつ、やる気がないなあ」と嘆く。しかしその状況を客観的に捉えれば、「教師の授業がつまらないんじゃない?」という疑問も湧く。しかしその状況、生徒が悪いわけでも教師が悪いわけでもないかもしれないという調査結果を示す研究が進んでいる。
やる気のなさを批判するのは逆効果
東海大学情報教育センター専任講師で博士(工学)の白澤秀剛さんは、大学生および高校生を対象に、「主体性」の本質を定義し、それを学校教育を通じて伸ばすための方法を見いだすために、数千人単位の調査を行った。
「やる気があれば勉強ができるようになるのなら、ダイエットだって全員成功しているはずです。そうなっていないってことは、やる気は自分の意思ではコントロールできないということです。自分の意思でコントロールできないことに対して批判をされても、逆効果になる可能性が高い」(白澤さん、以下同)
主体的な学びを実現する方法として、いわゆる「アクティブ・ラーニング」という概念が流行した。学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」という表現が使われる。では、学校でアクティブ・ラーニングを行えば、生徒の主体性が伸ばせるのか。白澤さんは「これまでの調査結果からは、単純に課題解決型授業をすればいいとか、グループワークを取り入れればいいという考え方にはならないと予想できます」と言う。
アクティブ・ラーニングを通して主体性を伸ばすためには、アクティブ(主体的)に学ぶようにしかけをつくって、成果が出るように誘導し、主体的学習を継続して行うための成功体験を得るように、かなり綿密な授業設計が必要とのこと。形だけまねしたアクティブラーニングは「アクティブラーニングに名を借りた、単なる放置である」と手厳しい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら