「勉強しない」と決めることがやる気への第一歩 「スイッチ」ではなく「すごろく」で動く

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文部科学省的な文脈では「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる」ことを「主体的な学び」と表現しているようだが、白澤さんはそこにも疑問を呈する。

「『今はやらない』と決めることも主体性ですよね。面倒くさいけど取りあえず覚えるというのも主体性ですよね。嫌なことを避けるのも、本人の意思に基づいて決めたことなら主体性ですよね。それらの主体性を否定しておいて、都合のいい部分だけを主体性と呼ぶのは無理がある」

白澤さんは、約2000人の高校生を対象に、「いい悪い」ではなく「どこに主体性を向けているか」を評価するアンケート調査を行い、269の学習行動を抽出した。さらにそれを分析すると、「獲得行動」と「回避行動」の2因子が抽出された。

獲得行動とは、「満点や高得点を目指して練習問題を何度も行う」「勉強してもわからない内容があるときは先生に質問する」のような、何かをできるようにするために行う主体的な行動である。回避行動とは、「努力しても無駄と感じたときは勉強を諦める」「授業中に当てられないように、わからないふりをする」など、ストレスや葛藤を回避するために行う主体的な行動である。

それぞれの因子の「多い」「少ない」の掛け合わせで、生徒の学習への向き合い方を「成長志向」「完了志向」「参加志向」「防衛志向」の4つに分類した(図参照)。

(編集部註:外部配信先では図を全部閲覧できない場合があるので、その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

学校によって生徒の主体性の出方が違う

「成長志向」は勉強ができるようになるための努力を進んで行い、ストレスを避けようとすることが少ない状態。大人からすれば「あの子はやる気がある」と見える。

「完了志向」はテストでいい点数をとるための努力はするが、余計なことはしたくない状態。他者評価を気にする傾向が強い。

「参加志向」は、学ばなければいけないという意識はあるので授業には出ているがそれ以上のことはしない状態だ。

「防衛志向」は一般的には「やる気がない」といわれてしまう状態。学習への恐怖を感じ、自信を失っている状態であることが多いと考えられる。

学力が同じくらいの複数の学校で調査を行い比べると、学校によって4つの分類の割合が違うことがわかった。成長志向の生徒が多い学校と、防衛志向の生徒が多い学校に二分されるのだ。この調査を各学校で行えば、その学校の生徒がどのようなタイプの主体性をもっているのか、傾向が一目瞭然にわかる。

4つの主体性分類と授業外学習時間をかけ合わせてみると、当然ながら「成長志向」の生徒の平均学習時間が最も長く、「完了志向」「参加志向」「防衛志向」と続く。一方、一般には最もやる気がないと見なされがちな「防衛志向」の生徒の中にも、勉強時間の長い生徒が一定数いる。白澤さんは「優秀すぎる"浮きこぼれ"の生徒が、学校での学習に意欲をなくしているのだろう」と推測する。

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