営業益6割減、「優等生ファナック」に灯る黄信号 貿易摩擦の長期化が直撃、受注が想定以下に

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特に下期(2019年10月~2020年3月)の予想を見ると、2435億円の売上高に対して営業利益は200億円に留まり、営業利益率は8.2%まで落ち込む。下期の利益率の落ち込みについて山口社長は、生産拠点の複数化や人員増加による固定費の増加を挙げた。

ファナックは、本社のある山梨県忍野村地区に生産拠点を集中させる従来の方針を数年前から変えている。2016年は栃木県壬生町に主力のCNCやサーボモータの工場を新設。さらに、工場の自動化に対する需要拡大に備えて本社地区でも生産能力を増強し、ここ数年、1000億円規模の設備投資額が続いていた。

安川電機、不二越と業績下方修正相次ぐ

山口社長は「(売上高が回復しても)以前ほどの利益率は出ない」と明言し、かつてのような高い利益率は見込めそうもない。

10月10日に決算を発表した産業用ロボット・モーター大手の安川電機は、米中貿易摩擦の長期化と円高を踏まえ、2020年2月期の営業利益を250億円と期初予想から半減させた。「下期に想定していた半導体の回復が2020年にずれこむ」(小笠原浩社長)のが要因だ。

中堅機械メーカーの不二越の業績予想も、中国向けを中心に販売が落ち込み、2019年11月期の営業利益は前期比11.8%減の135億円と、一転して減益となる。

業績見通しの下方修正が相次ぐ中、ファナックの山口社長は「設備投資が低いままはありえない。どこかで上向く」と、半導体や5G関連の投資を期待するが、まだ動きは本格化していない。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。報道部、『会社四季報』編集部を経て、現在は会社四季報オンライン編集部。食品業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、ドローン、医療機器など。趣味は東洋武術。

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