営業益6割減、「優等生ファナック」に灯る黄信号 貿易摩擦の長期化が直撃、受注が想定以下に

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機械部品を加工する工作機械は、あらゆるものづくりを支えている。ファナックのNC装置は工作機械の頭脳部分にあたり、世界中の工場で使われている。

ファナックの今第2四半期(2019年7~9月)の受注をみると、NC装置やサーボからなるFA部門の受注高は、前年同期比35%減の297億円。工作機械のロボマシン部門は前年同期比30%減の172億円だった。

工作機械受注額は前年比3割減

日本工作機械工業会(日工会)によると、9月の工作機械受注額は、前年同月比35.5%減の989億円。9月での1000億円割れはリーマンショック直後の2010年以来だ。9月の中国の自動車向け受注も前年同月比50.5%減となり、中国の自動車需要の落ち込みなどが中国製造業の設備投資意欲を抑制している。

日工会は9月に、2019年の工作機械の受注見通しを前年比3割減の1兆2500億円になると従来予想から3500億円引き下げている。

山口社長は「今の状況が急速によくなる見通しは持っていないが、これ以上悪化しない」と言う。しかし、「在庫調整がほぼ終わり、実需に見合った注文がきている」と述べるにとどまり、具体的な底入れの材料ははっきりしない。

ファナックの売上高営業利益率は40%を超え、「超優良企業」として知られていた。しかし、会社側が見込む2020年3月期の営業利益率は14%と、26期ぶりに20%を下回る見通しだ。

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