中国の新車市場「急減速」の中で分かれる明暗 市場の9割を占めるセダンやSUVの苦戦続く
変調を来す中国自動車市場では、各社が懸命に生産台数の維持と新規需要の取り込みを図っており、製品戦略によって、企業の明暗が分かれている。
中国では、長い間、外資系企業は中高級車、中国系企業は低価格車とすみ分けが続いてきたが、近年の乗用車市場の減速を契機に、高性能を強みに持つ外資系企業が、値下げ攻勢に踏み切った。中国系企業の主戦場である内陸部・中小都市における新車販売の低迷に加え、1~9月の中国系乗用車の販売台数は前年同期比18.5%減、市場シェアが同3.3 ポイント減の38.7%へと低下することとなった。
苦戦が続く現代・起亜やPSA
外資系企業では、韓国系の現代・起亜は「安価な外資系ブランド車」を差別化の武器として、長年中国乗用車市場3位を維持してきたものの、消費者の嗜好変化や中国系車の品質向上などを受け、販売台数は大きく減少している。
仏系のPSAも四輪駆動車種の欠如や現地化車種投入の遅れなどにより低迷している。韓国系と仏系の2019年新車販売は、市場シェアの低下分から試算すると、2015年比約120万台の減少が見込まれる。
韓国系・仏系メーカーに加え、米系メーカーの苦戦も目立つ。フォードとGMの販売台数は前年同期比、それぞれ30.3%減、17.5%減となった。米中摩擦の影響を受けているものの、消費マインドの低迷が米系車の減速要因であろう。
一方、新車販売が前年同期比2%減となったVWは、傘下の一汽VW、上汽VWが依然中国乗車メーカー上位2位を占めている。長年中国市場で深耕してきたVWは、市場変化の対応能力を備えてきたため、新車市場の減速が同社の市場優位を崩す可能性は小さいが、他社を一段圧倒する競争優位は徐々に変化してきている。
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