『専門性のある仕事がしたい』(24歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談
<城繁幸氏の診断>
診断:『カギを握るのは問題解決能力と問題設定能力』
就職活動時代は、文系ならたいてい誰でもマーケティング企画やら管理部門やらを希望するものです。理由は簡単。
「営業は体力勝負で、使い捨ての兵隊だから」というような思い込みがあるからです。
ところが実際どうかというと、一番転職しやすい職種は営業ですね。業界シェアはどう変動するかわかりませんが、自社の売上げが落ちている分、必ずどこかが拡大しているわけで、常に優秀な営業マンは必要なわけです。
「自社の業務のみに特化した云々」については、営業だけではなく、全職種共通の重要なテーマでしょう。「業界のどこへ行ってもすぐ通用するような幅広い能力・経験」なんて、営業に限らず普通はありえない話ですし、企業もそんなものは中途採用で求めてはいないのです。ではキャリアとして要求されるものは何か。はっきりいうと、それは『問題設定能力』です。
ちょっと専門的な話になりますが、社内の人材は職種を問わず、大きく2つのタイプに分けられます。問題解決型と問題設定型です。一般的に、前者は事務能力に長け、与えられた仕事を効率良くこなせます。いわゆるルーチンワークに強いタイプですね。
でも欠点もあります。このタイプはともすれば新しいチャレンジや改革に及び腰になる点です。ルーチンワークをこなすだけなら、人間は大して頭なんて使わないものです。要は楽なんですね。
そこで強みを発揮するのが後者の問題設定型です。彼らは常に自分の頭で現状を分析し、課題を見つけては取り組むことこそ業務だと考えています(もちろん、常に成功するわけではありませんが)。
ずっと同じ会社にいるのなら、前者の方が優秀だと評価されるケースも多いでしょう。でも、新しい会社で環境をリセットして業務に取り組んでもらう以上、採用を募集する企業が中途採用者に求めるのはどちらでしょう?誰がどう考えても後者ですね。つまり、転職市場におけるもっとも重要なキャリアというのは、この問題設定能力なわけです。決して「幅広い経験」などではありません。