ナルミヤの完全子会社化で企業再生力問われるSBIグループ
SBIホールディングスの全額出資子会社で企業投資を手掛けるSBIキャピタル(東京都港区)は、子供服大手のナルミヤ・インターナショナル<3364>を株式公開買い付け(TOB)で、11月に完全子会社化する。
SBIキャピタルは、自社で運営・管理する企業投資ファンドを通じ、2007年にナルミヤをTOBで連結子会社化。経営陣の派遣をはじめ、経営改革に取り組んできたものの、業績改善が進展していない。完全子会社化することで、少数株主の意向に影響を受けない出資構成に変え、従来よりも踏み込んだ経営改善策を打ち出したい狙いだ。
TOB期間は9月30日~11月12日までで、買い取り価格は1株4万5000円。今回、SBIキャピタルは18億4000万円を投じて、従来55.06%だったナルミヤへの出資比率を100%まで引き上げ、完全子会社化する。同時にナルミヤは上場廃止となる見込みだ。
ナルミヤは1995年の設立。ピンクや青、黄色などの華やかな色柄で、かわいらしいキャラクターのイラストをあしらった「エンジェル・ブルー」「メゾ・ピアノ」などのブランドが人気を呼び、急成長した。04年1月期には売上高357億円、営業利益41億円を計上し、05年3月にはジャスダックに上場を果たした。だが、その後はブームの一巡や、少子化に伴う子供服市場そのものの縮小、百貨店市場の停滞などのあおりを受けて業績が悪化。SBIキャピタルが07年から資本参加し、建て直しを進めてきた。
SBIキャピタルは、かわでん、信和、フードエックス・グローブ(現タリーズコーヒージャパン)などの企業再生で実績を上げており、ナルミヤについても、企業価値を高めるために、さまざまな策を打ってきた。しかし、思うように業績は上がっていない。ナルミヤの業績は、09年1月期、10年1月期と2期連続赤字となる見通しで停滞している。
SBIキャピタルは完全子会社化によって、一段と踏み込んだ業績改善策を打ち出す狙いとみられる。ただ、市場そのものが縮小、かつ一大ブームの反動で苦しむビジネスを再生するのは容易でない。業績が上向かなければ、売却や再上場などによって投資金額を回収するイグジット(出口)のメドがつきにくくなる。
今回のナルミヤの完全子会社化は、SBIグループの企業再生力が問われる案件といえそうだ。
(武政 秀明)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2009.03 130,922 4,403 37 -18,375
連本2010.03予 138,500 11,500 9,500 6,100
連本2011.03予 140,000 13,000 11,000 6,600
連中2008.09 71,747 6,330 4,773 -1,523
連中2009.09予 69,500 6,000 5,000 3,400
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1株益¥ 1株配¥
連本2009.03 -1232 100
連本2010.03予 364.5 100-180
連本2011.03予 394.4 100-200
連中2008.09 -116.2 0
連中2009.09予 203.2 0
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