次はトランプVS.ウォーレンと読む人が陥る罠

2020年の米大統領選予想は「間違いだらけ」

逆に、この現象の受け皿になっていたのが大都会のマンション販売の好調さだった。都会が好きなミレニアル世代が市街地と郊外の中間に続々と立った新しいマンションの需要を支えてきたのだが、どうやらここでも異変が始まった。直近マンハッタンではアッパーミドル向けマンション価格が10%を超える下落に転じ、代わりに賃貸マンションの賃貸料の高騰が始まった。つまり都会でも、アメリカの消費力の源泉となる住宅に陰りが見えてきたのである。

金利が低下する中での住宅価格の下落は、リーマンショックよりも深刻である。リーマンショックはFEDの急激な利上げがバブルの崩壊を呼んだが、その後中央銀行がここまで流動性を増やし、それに準じてモーゲージの金利も下がる中で住宅価格が下がり始めているなら、それはもはやバブルの崩壊ではない。自然な衰退である。

大きくなりすぎてしまった「ゴジラ」

以前、生物学だったか、物理学だった定かではないが、その分野の専門家がゴジラについてコメントしていた。そこで専門家が指摘したのは、巨大生物のヒーローを創造するのは自由だが、地球上で生物が行動するには体の大きさに限界があるという主張だった。

どうやら、FEDはこれから再び無限大の量的緩和時代を迎える。だが、ゴジラの大きさにも実際は限界があることを、パウエル議長は本当に知っているだろうか。

パウエル議長は、次のバランスシート拡大では「量的緩和(QE:Quantitative Easing)と呼ぶな」とくぎを刺した。その理由の1つは、対象となる証券がこれまでのような長期債ではなく、短期債が中心になるということだ。

だが本音は前任のベン・バーナンキ元議長の議会証言との矛盾を避けたいのだろう。バーナンキ元議長は2010年にQEを始めるにあたり「これは中央銀行による財政ファイナンスではない。なぜならFEDのバランスシートは再び縮小される」と言ってしまったからだ。イエレン議長の時代、公約通りバランスシート縮小を始めたものの、利上げとバランスシート縮小の同時進行に市場は耐えられず、ちょうど昨年の今頃から市場が悲鳴を上げたのは記憶に新しい。

それから1年。もともと流動性は有り余っている。それならば、パウエル議長がスタンスを変えればインデックスは高値圏まで戻す。にもかかわらず、先月のレポ市場での金利急騰は再びFEDを揺さぶった。まあ、心地よくなる麻薬にせよ、本来は痛み止めのはずのオピオイド(医療用麻薬)にせよ、常用を続けると、ますます大量の薬が必要になる。その顛末は2020年の選挙までに現れるのか。

トランプ大統領は 2016年の大統領選の最中は、イエレン議長によるQEを散々批判してきたが、今は自分も同じことをパウエル議長に要求している。

このように、トランプ大統領にとってパウエル議長は最大の敵にも、最強の味方にもなりうる人だ。もし、機会があれば、次は大統領選挙とFRB議長の関係の奇妙な法則と、そもそも日本のメディアが使う「アメリカの中央銀行に当たるFRB」という表現は事実と異なり、恐らく間違った表現を公式に延々と使っているのは日本のメディアだけの可能性が高いことを、FEDの歴史を踏まえて触れてみたい。

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