次はトランプVS.ウォーレンと読む人が陥る罠 2020年の米大統領選予想は「間違いだらけ」
ただ、トランプ大統領としては、それでは景気後退のリスクに油を注ぐことになる。個人的には、だからこそ、その時まで米中貿易協議での関税の脅しは緩めないと予想する。そして頃合いを見て関税を一気に撤廃し、選挙戦の終盤に向けて株価の上昇を図るシナリオを、相場観としては捨てきれない(うまくいくかは別問題)。
さて、そんな中で懸念されたイランとの戦争は幸い起こっておらず、前述の米中貿易協議も、トランプ大統領は株価を睨みながら、「のらりくらり」に徹している。
一方、議会民主党は、ロシアに代わって今度はウクライナ疑惑で新な弾劾の動きに入った。だがナンシー・ペロシ下院議長は、まだ正式には弾劾の評決に入るとは宣言していない。採決すれば確実に下院は通る情勢だが、上院採決までは時間がかかるからだ。ビル・クリントン大統領(当時)への弾劾の経過を当てはめるなら、上院での採決は恐らく来年夏。3カ月後に大統領選挙を控えての弾劾はペロシ議長にとっても大きなリスクだ。事実クリントン大統領の弾劾では、弾劾不成立後、共和党の執拗な攻撃に国民は辟易し、2期目の中間選挙で負けたのは共和党の方だった。
クリントン大統領を救ったのは経済だった
結局、この時もクリントン大統領を救ったのは経済だった。派手さはなかったが、クリントン政権の1期目は(1993~1997年)、比較的万民が恩恵に浴する形で、アメリカの経済は着実に向上していった。それは実体験として覚えている。それを踏まえ、トランプ大統領の新しいTVコマーシャルは、この3年の実績を強調する内容になっている。狙いは理想を掲げても実現できない民主党を攻撃しながら「人間としてトランプ大統領は嫌いだが、大統領の仕事としては評価せざるをえない」という人々にターゲットを絞っている。
個人的にはこの雰囲気は、数年前、日本でいわゆる「モリ・カケ」(森友・加計)問題が話題になったころに似ているのではないかと想像している。あくまでアメリカから眺めただけだが、当時の自民党政権はあれだけメディアと野党から攻撃されながら、結局そのあとの国政選挙では何も変わらなかった。以前、あのスティーブ・バノン氏が、トランプ政権にはお手本があり、それは日本の安倍晋三首相だと発言していた。半分社交辞令で半分は本音と感じたが、ならば日米貿易交渉などでは日本はもう少し強気に出てもいいはずだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら