LED照明の次世代戦争、4000円電球が火ぶた切る、新参シャープに東芝・パナが反撃
東芝ライテックの今年度出荷見通しが50万個、パナソニックでさえ同40万個なのに対し、シャープは「8月は標準タイプのみで20万個を超えた」(桃井副所長)。今後も月産20万個の目標を掲げる。「パナソニックさんらの参入で市場が盛り上がるので大歓迎」と余裕綽々(しゃくしゃく)だ。
なぜ既存大手は、新参者のシャープに、LED電球で主導権を握られたのか。
ほんの少し前まで、省エネ&エコ対策として本命視されていたのはLEDではなかった。地球温暖化防止のために昨年5月、甘利明経済産業相(当時)が12年をメドに一般白熱電球の生産停止方針を打ち出したときも、代替品となるとみられていたのは電球形蛍光灯だった。
電球形蛍光灯は1980年代に出た当初はサイズが大きく、明るくなるまでの時間がかかるなど欠点が多かったが、地道な改良で一般電球のE26口金では白熱電球並みのサイズを実現、明るくなるまでのタイムラグも改善された。点滅の繰り返しに弱い点や調光に対応していないなど弱点は残るが、消費電力、寿命、価格のバランスは抜きんでている。
LED電球は直下の明るさこそ白熱電球や電球形蛍光灯に追いついたものの、周辺部を含めた明るさでは大きく見劣りする。「LED電球は照明としてはまだまだ不十分」と照明大手幹部は明かす。
ゆえに照明大手が白熱電球の置き換えは電球型蛍光灯で、と考えたのは無理からぬことだった。特に電球形蛍光灯をリードしてきたパナソニックは、LED電球の普及タイミングを読み間違えた。LEDの可能性は誰もが認めるところだが、設計の自由度が高く、欠点をカバーしやすい専用器具型を本命と考えていたフシがある。一方、失うものがないシャープは、値段を含めて思い切った戦略を採りやすかった。