成功する人は「自己否定する力」が凡人と違う 「サードドア」から学ぶ失敗との向き合い方

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松本:プロのトレーダーだって、アマチュアの投資家と一緒で、株が上がると思って買うんです。ただ素人とプロが違うのは、株価が上がらずもう終わりだと思ったとき、プロは「いつか上がってくれ!」と祈るようではダメで、自己否定する力、失敗を受け入れる力が必要になるということです。

ビジネスも同様で、チャレンジしないと成功しないのに、なぜ多くの人はそれを避けるのかと思います。私の先輩が言っていました。「起業家が死ぬときは、お金が尽きるときではなく、心が折れるときだ」と。そして、「世の中の99%に反対されても、自分が正しいと思う心があるならその事業をやれ。ほかの人がいくらいいビジネスだと言っていても、自分が信じられないならやめるんだ」と。

インサイドマンが助けてくれる

バナヤン:すばらしいですね。自分の心の中の葛藤とどう折り合いをつけるかという問題と同様に、私にとっては、自分を導いてくれるインサイドマンの存在も重要なものでした。インサイドマンとは、自分を信じて受け入れてくれる人です。

自分よりも年長で経験を積んでいて、組織の中でポジションを持っている方が、私を招き入れてくれた。彼らのおかげで、インタビューを実現できたんです。彼らは必要な存在です。彼らのおかげで、青二才の自分でもキャリアを早く積み上げていくことができますから。

松本:インサイドマンはビジネスの本質ですね。私もベンチャーの世界で超大手企業と取引をしていますが、普通は相手にしてもらえないんですよ。そういうときに、インサイドマンがいると道が開けます。

どうやってインサイドマンと出会うかというと、まずは、心ある人を探すことだと思います。ビジネスマンである前に、人であることを大切にしてくれる方です。こちらのやりたいことを伝えたとき、ほとんどの場合は、「そうしたことには時間を割けません」と言われます。

でも、例えばその方にお子さんがいらっしゃるとして、「お子さんが将来就職活動をするときに、もっと人生について考え、多くの人から学べる機会があったほうがいいと思いませんか? 協力してくださいませんか、私1人では何もできないんです」と話してみる。そうすると共感してくださって、動いてくれることがあります。

自分が社会的に本当に正しいと思うことをするのが重要ですし、これがやりたいんですという情熱を伝えること。そして、相手にそれを受け入れる心があること。この3つがそろったとき、サードドアは開きます。

バナヤン:まったくそのとおりです。よいインサイドマンは多くの経験がありますから、失敗したときに相談すると「頑張れ」と言ってくれたり、「やめたほうがいい。別のところにアプローチしろ」と言ってくれたり。すばらしいアドバイスをもらえるんです。

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