成功する人は「自己否定する力」が凡人と違う 「サードドア」から学ぶ失敗との向き合い方
松本:失敗とはなにか、という点について言うと、自分が失敗だと思えば失敗なんですね。99回失敗したとしても「99個の上手くいかない方法を知ることができてよかった、これをやってはいけないと学べた」と考えることもできる。
これをやりたいという軸が自分のなかにしっかりなければ、何が成功で何が失敗かを考えるのはナンセンスだとも思います。その人の最終的な目的に応じて、成功や失敗の定義も変わってくるからです。
例えば今年の7月、VISITSは22億円を調達して少し話題になりました。そんな金額を調達できて成功したねと言われることもあるのですが、これは成功ではないと思っています。自分たちで十分な黒字を確保できていれば、資金調達なんてしなくてすむんですから。
バナヤン:私は『サードドア』がベストセラーになったことは、半分は成功だと思っています。ただ、この本を書いたそもそもの理由は、ベストセラーを書きたいということではなく、「著名人のアドバイスを一堂に集めて、次世代へのメッセージを伝える」という夢を私が持っていたからでした。
ベストセラーになったことはうれしく思いますが、それは私が目標にしてきたことではありません。私が得た教訓やメッセージが多くの方々に伝わり、その人たちが自らの可能性を広げることができてはじめて、成功と言えるのだと思っています。
会場の学生からの質問
2人の対談後、会場の学生との質疑応答が行われ、さらに議論は深まった。
学生A:『サードドア』には失敗を恐れて動けなくなる「フリンチ」という現象が書かれています。僕は、失敗するたびにフリンチがひどくなります。
バナヤン:フリンチは、何か大変なことを感じて、ひるんでしまう感情のことですね。あらゆる成功者が、初期の段階で感じているものです。そうした恐れや不安は消えるものではなく、人生においてつねに感じるものだと考えてください。不安にならないこと、それを消し去ることは目標にはならないのです。不安がある状態に慣れること。そして、不安に飲み込まれないようにすることが重要です。
それは筋力トレーニングをやるようなものです。最初は5kgのものからはじめて、10kg、30kgと徐々により重いものを持ち上げていきますよね。不安も同じです。少しずつ耐性をつけていく。効果はすぐには表れませんが、トレーニングを続けることで、いつしかあなたも「どうやって不安を克服しているんですか?」と質問される立場になっているでしょう。
松本:不安のもとは何かを突き詰めてみると、大抵はただのプライドだったりするんです。不安にさいなまれたら「ちょっと待て。これって自分のプライドだけなんじゃないか?」と考えてみることも大切だろうと思います。