犬猫をたくさん飼った末に起きた「惨状」の数々 多頭飼育が崩壊した現場で何が起きているか

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一般的に何頭までならきちんと犬、猫を飼うことができるのだろうか?

「犬の場合、われわれのようなトレーニングを仕事にしている者でも1人2頭ですね。3頭になると厳しくなります。もちろん飼えないわけではないですが、十分に行き届いた世話ができなくなるんです。

犬を飼うということは、ご飯を考え、医療を考え、そして散歩させてあげなければなりません。それって人間の赤ちゃんを育てる労力と変わらないんです。しかも動物は、ずっと赤ちゃんのまま(のようなもの)です。たとえば2歳児を10人育てるって、普通に考えたら無理ですよね?

猫は犬とは違い、散歩の手間がありません。エサとトイレと清潔さを保てばいいので、犬よりは飼えるとは思いますが、それでも3頭が限界じゃないでしょうか? それ以上は、目が行き届かなくなると思います」

「買いたい」人を拒むことはできないジレンマ

現在、街には野良犬はほとんどいないため、犬はペットショップで購入して手に入れる人が多い。ペットショップで犬を衝動買いしてしまう人は少なからずいる。

「クレジットカードでもローンでも犬を買うことはできますからね。人によっては、歯止めが利かなくなるんです。

ダックスフントを14頭飼った人がいました。その人は『全色そろえたい』と言っていました。犬はオモチャではないですから、そういう感覚で衝動買いするのはよくありません」

そういう危険そうな客には、販売を断りたいところだが、ペットショップ側は「買いたい」と言っている人に「売りません」とはなかなか言えないのが現状だ。

「デパートなどに入っているペットショップが『犬を買いたい』という客に対し販売を断った場合『商品を買うと言ったのに、販売してもらえなかった』とデパートにクレームが入る場合があります。その結果、店が注意をされることもあります」

客に「売れ」と言われたら、問答無用で売らざるをえない。そのことで悩んでいるペット業界の人も多いという。

一方で、そういう客を「上客」と捉え売りつけようとする、たちの悪いペットショップも存在するのが現実だ。

犬は商品であり、その生命はあまりにも軽んじられている。

猫は犬とは違い、野良猫(地域猫)に餌付けをすることからはじまる場合が多いという。

最初は公園などで猫にエサをやるだけだが、だんだん部屋に入れ始める。そしていつの間にか、家の中は猫だらけになっている……というパターンだ。

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