猫が人の言葉を理解しているという確かな根拠 縄張りという視点で人をよく観察している
その結果、最初の4つの言葉では猫の反応がだんだん小さくなっていったのに対して、自分の名前になると反応が大きくなったそう。この実験結果から、猫は自分の名前とほかの単語の違いがわかり、自分の名前を理解していることが証明できたというのです。
猫を飼っている人なら、「うちの猫は、もちろん自分の名前をわかっていますよ、何を今さら」なんて思うかもしれませんね。しかし、この研究結果が画期的だからこそ、英国の科学誌に取り上げられたともいえるでしょう。なんせ気まぐれな猫ですから、実験自体難しいわけです。
猫は音を聞き分けて単語を区別している
翻って猫脳から考察する、猫の人の言葉に対する理解度はどうでしょうか。言語機能をつかさどっている脳の部位は、大脳新皮質です。「霊長類の脳」といわれる部分で、猫にはうっすらとしかなく、あまり発達していないことがわかっています。その意味では、単語は理解できても、単語の組み合わせまではわからないのではないか、と考えられています。
他方、猫は高い聴覚機能を誇ります。人が発した言葉の微妙な音の違いも聞き分けられるため、前出の実験でも単語の違いを聞き分けている可能性があります。また、猫は記憶力が非常に優れているので、経験から言葉を覚えることができます。食べ物や、身の危険に関することは死活問題なので、とくによく覚えます。
2011年に、米国のボーダーコリーが猛特訓によって、モノの名前を1000個以上覚えられたとのニュースがリリースされました。猛特訓というところが犬ならではですが、脳の構造や知能については、犬も猫もさほど変わりませんから、猫もおそらく相当数の単語を覚えることができると思われます。ただ、猫には猛特訓できないのが玉に瑕なんですが……。
縄張りで生きる猫は、縄張り内の異変に敏感です。単独行動で生活してきたので、異変に気づけないと、野生では命を落とす危険性があったからです。人と暮らす猫にとって、飼い主もいわば縄張りの範疇。その意味では、日ごろから人のことをよ~く観察しています。
人が言葉を発したとき、そのトーンや長さ、強弱、さらにその時の人のしぐさを猫は・ガン見・しているのです。そして言葉を状況とともに記憶し、猫脳に張り付けておき、その時々で引き出して理解しています。
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