K-POPオーディションに挑む日本の女子中高生 「韓国でアイドルになりたい」という強固な夢

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実はこの日、スカウトたちから最も熱い視線が注がれたのがユミさんだった。

ダンスの時に見せた、一瞬たりとも気をゆるめない峻厳な動き。リズムに合わせて自在に動くしなやかな手足。挑戦的な視線をスカウトたちに流しながら、ときおり髪をかきあげる仕草もプロ顔負けの堂々としたものだった。思わず立ち上がってカメラで彼女を追いかけるスカウトもいた。

オーディションの様子(筆者撮影)

実はユミさんがK-POPのオーディションを受けるのはこれで4回目。

「日本のアイドルが『かわいい』としたら、K-POPアイドルは『かっこいい』。私は、かっこいいアイドルになりたいんです」

いつか、という日を夢見て、韓国語も勉強中だという。

これまでテレビやネット映像でK-POPを「独学してきた」と話すのは、岐阜県に住む高校3年生のチエコさん(仮名、17歳)だ。いまはBTSに夢中で、彼女もやはり「かっこいいパフォーマンスのできる」アイドルを目指しているという。

「実は両親がK-POPアイドルになることを反対しているんです。特に父親は『韓国が嫌い』だとはっきり言う。本当に困ったものです」

それを笑いながら話すことができるのは、彼女自身に強固な信念があるからだ。

「好きなものを政治に奪われたくない」

だから夢はあきらめない。たとえアイドルになれなくとも、親しんだ韓国のカルチャーにずっと伴走していたい。そうした思いから、いまは韓国の学校に留学することも考えているという。

日本のファンはきちんと"消費"してくれる

「頼もしく感じます。真剣に韓国芸能界でのデビューを考えている日本人が多いことを、あらためて嬉しく思いました」

そう話すのは、審査にあたったスカウトの1人「47エンタテインメント」のムン・サンギ社長だ。ムン社長はかつて大手芸能事務所に勤めていたが、最近になって独立。いまは新人発掘のために奔走しているという。

「日本人を欲しているのは、日本のマーケットを意識しているからです。確かにK-POPは世界的規模の産業に発展しました。ですが、日本のファンはきちんと"消費"してくれるんです。数よりも質がすぐれているように思います」

次ページオーディションで注目するのは主に「表現力」
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