「女性管理職が増えない」会社が打つべき"一手" 退職など最悪の事態を招かず増やすには?

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こうした、状況を「食わず嫌い」と表現した人がいましたが、この食わず嫌いを「試しに食べたらおいしいかも」と気持ちを高揚させる機会をつくることで可能性がみえてくるのではないでしょうか。

ちなみにアデコの調査によれば、女性が管理職になったきっかけについて61.1%が「自身で希望していなかったが、上司からの打診があり、快諾した」と回答。「上司から打診があり仕方なく引き受けた」(24.7%)と合わせると、8割以上の女性が、上司からの働きかけをきっかけに管理職になっています。

だから、取りあえず食べさせてみる……と強引に管理職への抜擢をすればいいということではありません。

本人が前向きに選べる状況をつくること

例えば、リーダーの役割を頻繁に体験して管理職のプチ体験を重ねることで仕事の具体的なイメージを持つこと。あるいは適性テストを活用して管理職としての可能性に気づいてもらうといったことです。

適性テストというと入社の判断をするためのツールと限定的な利用価値しか知らない人もいますが、そんなことはありません。各人材のポテンシャルを引き出すために活用して、社内における新たな適所を探すことも可能です。

適性テストもさまざまなサービスが開発されており、性格検査、パーソナリティ検査、学力検査などに用いられますが、組織・職業適性を図るものなら管理職としての適性をみることができます。

入社選考の場合、受けたテストの結果は教えてくれないケースが大半です。でも、それでは本人にとって気づきの機会にはなりません。女性活用の場合は、可能であれば、適性テストを受けた結果を本人に伝えることに加え、それに対してしっかり専門家からフィードバックも受けられるようにし、本人が納得できるようにすることが重要です。それがキャリアカウンセリングにもなります。

こうした取り組みにより、管理職になるポテンシャルのある女性が、意欲的に管理職に手をあげる状態が生まれるのではないでしょうか。

力技で強引に管理職を登用したものの、退職してしまった。管理職を勧められて断るといづらいので辞めたという女性の話を聞くことがあります。あくまで、本人が前向きに選べる状況をつくることが、女性管理職を増やす近道ではないでしょうか。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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