いずれにしても管理職適齢期で「抜擢したい」人材にもかかわらず「本人の志向」で候補者にならない女性は少なくありません。女性管理職の候補者がいないからだけでない、問題が存在していることは認識しておかなければなりませんね。
なかなか、解決の糸口が見当たらない女性管理職を増やすための施策ですが、会社にとって増えることはいくつものメリットがあると考えます。
例えば、意思決定に関わるメンバーが多様化することで、これまで出てこなかった意見や提案が生まれ、会社の方針に柔軟性が生まれます。消費財メーカーなど多くの会社で市場に合わせた意思決定ができる可能性も高まります。
あるいは女性社員にとって男性上司にはどうしても話しにくい、家庭環境や自身の体調など、デリケートな問題が相談しやすくなることもあります(プラスばかりとは限りませんが)。
女性管理職の比率が上昇した会社では業績も向上しているとのデータも発表されており、会社は女性管理職拡大に果敢に取り組まざるをえない状況になってきたといえます。
企業側の努力にもかかわらず、大きな成果が出ない理由
そこで各企業の人事部によって、
・女性管理職候補がいれば「下駄」を履かせてでも推薦する
・家庭との両立をしやすくするため職場全体の長時間労働を是正する
・労働生産性を高める
・ワークライフバランスの施策を実施する
など、さまざまな施策が取り組まれるようになりました。経営から課せられたミッションに対して、手はいくつも打たれているのです。
ただ、こうした努力にもかかわらず、大きな成果はなかなか出ない。時間のかかる問題だからともいえますが、あと5年も経てば増えるのでしょうか? それほど、大きな変化が出ていない気がしてなりません。その理由は管理職になりたいという「意欲」が変わらず低いままだと思うからです。では、どうして低いままなのか。どうしたら上がるのでしょうか?
1つ象徴的なデータがあります。それは、いったん管理職になった女性のうち半数以上が管理職を続け、さらなる昇進を目指しているということ。
また、筆者がコンサルティングをしているクライアントの管理職インタビューで出会った女性管理職に「管理職を続けたいか?」と質問したとき、多数の人から「はい」と回答をいただきました。つまり、管理職になってしまえば活躍できるが、ならない段階ではそのイメージが湧かず、尻込みしてしまうのです。
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